今日から死んだ兄に代わって炎柱になります

廿肆ノ炎 ページ26

その夜、私は準備を整え足を進めていた

向かう先は、我が家である







『ただいま戻りました』


玄関を開けて言えばすぐに細かい足音が聞こえてくる
その足音の持ち主は一人しかいない



千寿郎「おかえりなさい！！姉上っ」






とびっきりの笑顔で迎えてくる弟は本当に可愛い
この笑顔の為に頑張れるのだから


出迎えてくれる千寿郎の頭を優しく撫で、口を開く






『お出迎えありがとう千寿郎、父上は…？』




長居はするつもりはない、ただ千寿郎と父上の顔を見て任務に向かうつもりだ

そして、千寿郎に聞けば父はいつもの部屋にいるという




私はすぐに父の部屋に向かうことにした









『父上、失礼します』


この部屋に来たのも4ヶ月ぶり

前回は寝転がっていた父は、今回は縁側に座り月を見上げている








愼寿郎「…どうした」


振り返る父の横顔が月の光に照らされる
なんとも言えない雰囲気を父は纏っていた









その父上に姿勢をただし、しっかり報告しようと口を開いた


『任務により、花街にある遊郭に参ります！！
必ず生きて帰りますので！ご心配なく！！』


それだけを伝え、では…と去ろうと立ち上がる
背を翻し襖に手をかけた瞬間、ぐいっと肩を掴まれた




『…え？』


愼寿郎「……」







父が私の肩を掴み見下ろしている
じっと見つめられて戸惑ってしまい口を噤んだ


しばらく沈黙が続き、やっと父の口が開かれる









愼寿郎「気をつけろ」


一言そう言って、父は部屋を出ていってしまった









父に肩を力強く掴まれた感触、発せられた言葉が余韻で残っている

昔、父と稽古を楽しく取り組んでいた記憶が頭を掠めて笑みがこぼれた





父は優しい、そしてすごく心配性だ

それを久々に感じて、心が温かくなった夜だった



















〜作者より〜

読者の皆様！！為人でございます！
この度ですが、冠がついていてビックリいたしました！！！

嬉しいかぎりでございます




たくさんの読者の皆様に深くお礼申し上げます！






これからも

【今日から死んだ兄に代わって炎柱になります】

を、よろしくお願い致します！！！

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