拾弐ノ炎【父】 ページ14
父side
最愛の妻を失ってからどうも上手くいかくなった
それを考えると自分の不甲斐なさに頭が痛くなり、それを酒で誤魔化す生活が続いていた
息子、杏寿郎 千寿郎
そして娘のAには多くの迷惑をかけていると
頭では分かっているのだ
しかし
杏寿郎や千寿郎を見れば、過去の自分を思い出し
Aを見れば最愛の妻を思い出してしまう
それがなんとも、苦しかった
そして先日、息子が鬼との戦闘で亡くなった
息子を失った衝撃と嫁ぎに行く娘が家を出ていき行方不明になったことで、もう限界だったのだろう
それで昨日、家に訪れた少年に悪いことをしてしまったと思っている
頭では分かっているのだ、なのに上手くいかない
そんなことぼーっと考えている時、足音が部屋の前で止まった
誰だ?と思っていると『父上!』と声がした
Aだ
どうしたらいいのかと、考えている間に襖が開いてしまう
話を聞けば炎柱になったという
嫌な予感がした、また子を失うのかという不安にかられた
だからまた、否定するような言い方をしてしまう
なのに急に抱きついて
離れろと言うには言うが、実は少し嬉しかったりする
観念したのを見越してか“自分が死ぬと思っているのか”と聞かれてしまった
死ぬかもしれないとは思っている
だが、死なないと信じてはやまないのだ
思っていても言えない俺に、まるで考えていることを代わりに話すようにAが話し出した
聞いていれば一言一言に重みが増して
瑠火もこんな風によく、杏寿郎に諭していたな…と思い出す
Aのおかげで気持ちが軽くなるような気になった
眉間のシワが少し緩んだ気もする
それを見越してかAが立ち上がり
『言って参ります 父上』と呟き身を翻す
その言葉に杏寿郎が重なった
“言って参ります 父上”と言って帰ってこなかった
…帰ってこい
死なずに帰ってきてくれ、これ以上置いていかないでくれと心が叫び出す
気づけば呟いていた
「……A………死ぬな」
無意識の言葉に、ばっと口を抑えるがもう遅い
きっとAに聞こえてしまっている
おろおろと内心焦っているが
しかし次の瞬間には
元気よく『はい!!』と返ってくる声に
思わず笑みをこぼしてしまうのは仕方ないだろうか
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烏璃(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております。本当に面白かったので今後も応援しています。番外編も小説になったのなら是非読ませていただきたいなと思う内容でした。楽しみに待っています。頑張ってください。 (2019年11月12日 22時) (レス) id: f27bf2df20 (このIDを非表示/違反報告)
為人(プロフ) - ありがとうございます!!!語彙力フル活動で頑張ります!! (2019年11月11日 19時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ3。(プロフ) - わぁぁ!!好きです!! こういう作品大好きなんです!!応援してます!! (2019年11月11日 17時) (レス) id: 57e27a7918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2019年10月27日 19時