今日から死んだ兄に代わって炎柱になります

拾壱ノ炎【父】 ページ13

嬉しかった、父に嫌われていないと知って
そして、ほっとした



愼寿郎「なっ、な…は、離れろ！！」

『嫌です』


ピシャッと父の要望を遮断する
すると「ぐぬ…っ」と、父は困っている様子だ






そう、父の最大の弱点であろう母似の顔
だから、現在それで手を出せずに困っているに違いない









『…父上は、私が死ぬとお思いですか？』

それはふと思ったこと
純粋にたずねてみた、どう思っているのか






愼寿郎「……」


父は何も言わない
ただ、私の質問に黙り込んでしまっている





『父上は死ぬなんて思ってない、兄が死んだのも当たり前だと思っていないはずです

…だって、自分の子供を死ぬのが当たり前なんて思う父親を、私は知りませんから』









愼寿郎「…ふん」

ぎゅーっと頑なに抱きついていたが、この時雰囲気が温かくなったので私は離れることにした






すたっと立ち上がり羽織を整え



『言って参ります 父上』

と言って身を翻す
心はるんるんと、うきうきである





任務は隣町での鬼の調査…夜になる頃には隣町に着いておきたい

そんなことを考えている時聞こえた言葉









愼寿郎「……A………死ぬな」ﾎﾟｿｯ



『…！』





小さく、とっても小さく

死ぬな、と父の声で聞こえたのだ




心がぎゅ〜〜っと締め付けられる感覚
嬉しい、と心が騒ぐ






『はい！！』

私は元気よく答え、任務に向かった

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