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8話 ページ9

Aside

中学一年生、初めての大会だった。
その先輩を絞め落とした後も、私はたんたんと決勝を勝ち抜いた。

キラキラと輝く優勝トロフィーと、メダル、そして賞状を手にして、対戦相手が涙するその場で写真を撮った。



後日、道着に着替えたあと放課後道場にやってくると
先輩たちがものすごい剣幕で待ち構えていた。

「よく顔を出せるわね。
アンタさえいなければ、優勝はあの子だったのに」

「先輩の最後の大会潰して悪いとか思わないの?
アンタ負けたことないらしいし、わかんないかぁ」






その言葉で決勝での対戦相手の涙を思い出す
けれど、勝ち負けがハッキリしてますのは仕方ない

負けたくないから練習して、勝ちたいから練習をする


『確かに、思うところがありますが、哀れみは相手に失礼だと思ってます。
あと、負けたこと対戦相手に咎めるのもスポーツマンシップに反すると思います』

「チッ、生意気なんだよ」



ドンッと突き飛ばされ、後ろに数歩よろける
その時の何かが落ちた

何年も前に康宏から貰った必勝祈願の御守り



「何このきったねー御守り」

『あ…』



手を伸ばすも、先輩はわざとそれを踏みつけた
グリグリと踏みつけ、嘲笑う光景が脳裏に焼き付いて

意識が冷めたのは、康宏の声でだった。






目の前に広がる光景に、またやってしまったんだと
胸が締め付けられて苦しくなった

ドクドクと心臓が音を奏でて、冷や汗が出ると、康宏が何か察したのか手を引いて連れ出してくれた。



滅多に使われない階段に座り込み
もう柔道やめようかなと、気づいたら切り出していた


「なんだかんだ言って好きなんだろ、柔道
俺と違って、悔やめんなら大丈夫だわ」

『で、でも…!』

「あんなヤツらのために、お前がやめることねぇよ」





俺も帰ってきたし
痛い目見てまだやるようなら、アイツらただの阿呆だな
と、ケラケラ笑う康宏

何も返さないでいると、頭に手を置かれた。


「悪かったな。一人にして」

『…康宏は悪くない。私が、自分に負けただけ』


「……。
そういや、お前ってなんで柔道始めたんだっけ?」

『え、そんなの康宏を守りたくて____あ』





ハッとして、康宏の顔を見ると優しい顔がある。

『……康宏。もし、また私が勝ち負けに囚われてたらさ
その時、また初心を思い出させて欲しいなぁ…』

「オウ。1回一万な」


『え、お金とるの?!』

「ハハッ、冗談」

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為人(プロフ) - ふらんそわ。さん» ありがとうございます´`* 頑張ります (2022年1月16日 21時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 面白いです‼︎続き気になるッ…‼︎‼︎ (2022年1月15日 0時) (レス) id: 149dedba41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2021年10月31日 23時

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