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6話 ページ7

その一瞬の出来事に呆然とした
“黒龍”とは何なのか。この人たちは何者なのか。


「助けてくれてありがとうな、嬢ちゃん。強いんだな」

『…いえ。でも、お兄さんは弱そうですね』

「う゛っ」



本当に喧嘩が弱いのか、胸を押えている
すると、背後から男三名がケラケラと笑っている。

「まぁーいいや。ほらこれ、大事なもんだろ?
もう投げたりすんなよ」



それはカバン入れていた金メダル。
男が投げ捨てた時に荷物が散らばり、わざわざ拾ってくれたみたいだった。

『別に、家にいっぱいあるから』

「へー!!すげーな!」

『それだけ練習してるし、勝つのは当たり前。勝てないのは練習が足らないだけ』






私の発言に、その人は頭を撫でてくれた
ふと顔を見れば、優しい笑顔が浮かんでいる。


「柔道楽しい?」

『……最近は、楽しくない。
勝つのが当たり前みたいになって、みんなに嫌味言われるから』


「そっか。嬢ちゃんにとって、勝ち負けって大事?」

『え?』


「嬢ちゃんが勝っても負けても、頑張ってるのを知ってる奴は絶対いるから、そんな焦んなよ?
自分に負けないことが、一番強いんだぜ!」







佐野真一郎くんとの出会いが、大きく私を変えた
そして、康宏の存在に気づかせてくれた。


それから、勝つことにこだわらなくなった。
やってきた練習は、確実な自信になって、本番は楽しむことだけを考えられるようになった。




__でも、13歳。康宏が少年院に入った

そして、突然始まった嫌がらせ
今までも中学での先輩の圧、嫌味にも耐えてきたけれど、康宏がいたからここまでしなかったのだろうと、いなくなって気づいた。


どんな嫌がらせをされようと負けない。自分に負けないことが、一番強いから。





__公式戦
嫌がらせをしてきた先輩と当たった。

伸びる手がとてもゆっくり動く、そして審判の「やめなさい!!」で、意識がはっとした。

何が起きたかわからなくて、周りを見渡すと、目の前で先輩が泡吹いて倒れている。

……私は、無意識で先輩を締め落としていた。



この時気づいた。
きっと、私は進む道によっては人を殺してしまうと

__笑え。
真一郎くんみたいな、人を惹きつけられる人になれ
誰かの居場所になれるような人になれ





__きっと、康宏がいなくなった時、また勝ち負けだけにこだわるようになってしまう。

それが、酷く恐ろしくて、その場で身体を丸めるようにして眠った。

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設定タグ:三途春千夜 , 武藤康宏 , 梵天
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為人(プロフ) - ふらんそわ。さん» ありがとうございます´`* 頑張ります (2022年1月16日 21時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 面白いです‼︎続き気になるッ…‼︎‼︎ (2022年1月15日 0時) (レス) id: 149dedba41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2021年10月31日 23時

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