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32話 ページ33

『春千夜〜、私会社戻るね?』



集会が終わり、各自自由となる。
メール確認すると、確認して欲しい資料があると来ていたため、返信して会社へと足を進めた。

しかし、腰を抱かれて先に進めなかった。


「まだ安静にしてろって、傷が開くぞ」

『…だ、大丈夫!書類整理だから』






急に腰を抱かれビックリしたが、ただ表情から気遣っただけだと分かる。なのに、心臓は脈打っていた。

美形だし、着痩せするタイプだし、康宏といつも一緒にいるから華奢に見えてたけど、春千夜もちゃんと成人男性だもんね、と

背中に当たる体温、腰に巻かれた腕の感触からそう思った



「なァ、良かったのかよ。指輪
彫刻なんざ入れちまって、大事なもんだろ」

『…!別にいいの。大切だから入れたんだし
康宏も、梵天のことも、一生向き合うために入れた』





大切なものに残したからこそ、覚悟は固い。
__もう決行は決まっている


「……じゃあ、いつかアンタに指輪をあげてもいいか?
ソレの代わりなんかじゃねえ。ただ、持っていて欲しい」

『…!もちろん。大切にするよ』



康宏も、梵天も、春千夜のことも全部向き合う。
考えるのが辛くて、全部終わらせて楽になりたくても、弱い方にもう逃げない。

__自分に負けないことが、一番強い




















ある路地裏で、怒鳴り声がする。
ここは私が運営している店の路地裏だ。

『私の店で、何を騒いでるの』

「…!オーナー!!
すみません、コイツが梵天って騒ぐもんで…」


『そう。じゃあ、あとは私に任せてくれる?
今日もお仕事お疲れ様。また、近いうちに顔出すから、またよろしくね?』

「はい!ありがとうございます!では、失礼します!!」








男が去り、ゴミ袋の上で転がっている男に左手を差し出す。揉めたのか、傷がかなり出来ていた。


『大丈夫?花垣武道くん』

「……えっ、、あなたは」




名前を呼ぶと、バッあげられた顔は昔と変わらない。
__真っ直ぐな目

みんな、私は昔のままだと言うけれど
彼の方が昔と変わらないと、私は心底思う。


『久しぶり。花垣武道くん、12年ぶりかな?
ムーチョの嫁になりたかった、椿 Aです』


「Aさんが、なんでこんなところに?
それにさっき、“私の店”って……」


『……見て』



その言葉に、私は左手に視線を送る。
差し出していた左手にある“ソレ”に武道くんは動揺した。


『私は今、犯罪組織梵天の幹部をやってるの』

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為人(プロフ) - ふらんそわ。さん» ありがとうございます´`* 頑張ります (2022年1月16日 21時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 面白いです‼︎続き気になるッ…‼︎‼︎ (2022年1月15日 0時) (レス) id: 149dedba41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2021年10月31日 23時

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