12話 ページ13
ボランティア活動が終わり、解散する。
帰りにいつものラーメン屋で昼ごはんを食べ、その後Aと春千夜は帰路についた。
『働いたあとのラーメンは美味しいね〜!』
「ごちそうさまでした。
町内ボランティアも悪くないですね。あのじじいケチのくせして今回は温玉おまけしてくれたんで」
『え?おじさんよくおまけしてくれるでしょ?』
「いや、それ姉御だけですよ。
俺と隊長にはあんまりおまけしてくれないです」
『しょうがないなぁ、今度おまけしてくれたら春千夜に分けてあげるよ』
成長期だからか、最近食べ物でよくブツブツ言っている春千夜を見て、Aは笑みをこぼしてしまう。
春千夜も、A笑みをこぼしたのを見て、どこかほっとしたようにマスクの下で口角を上げた。
「最近、体調が優れなさそうだったので心配してたんですけど、あれだけラーメン食べれたら大丈夫ですね」
『え、そんなに分かりやすかった?』
「はい。あ、もしかして生理でしたか?」
『…いや、、違うけど、他の女の子には単刀直入に聞いちゃだめだよ』
「気をつけます。それより、何かあったんですか?
俺で良かったら話くらい聞きますよ、惚気話長々されると吐くかもですけど」
『…えっと、康宏のことじゃなくてね
恥ずかしいんだけど、大会が近くて……緊張してる』
理由に笑うのか、それとも呆れるのか、春千夜の反応をじっと待った。
__しかし、どちらも外れた
「それだけ、姉御にとって大切な大会なんですね
あ、隊長と応援行きましょうか?緊張ほぐれるかもしれませんよ」
春千夜の答えにAは少し困惑していた。
強いところばかり見せて来たつもりだったからこそ、だらしがなく弱い所を見せれば
「姉御でも案外緊張とかするんですね、意外です」
と、言われると思っていたから
その意外性により、どんどん本心を滑らせてしまう。
『緊張、というか勝ち負けにだけ固執する癖があるの
……もったいないよね、楽しまなきゃ』
「姉御って、
『え、どえむ…?』
「勝ちたいと思うのは当たり前ですし
楽しめないのは、たぶん“楽しまなきゃ”って思ってるせいです」
頭の中で、たくさんの言葉と絡んだ思考がスルスルと整理されていくような感覚がした。
__結局、自分で自分を追い詰めていただけ
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為人(プロフ) - ふらんそわ。さん» ありがとうございます´`* 頑張ります (2022年1月16日 21時) (レス) id: 8ac863d303 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 面白いです‼︎続き気になるッ…‼︎‼︎ (2022年1月15日 0時) (レス) id: 149dedba41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:為人 x他1人 | 作成日時:2021年10月31日 23時