ザ・クイズショウ６【Kamiyama Satoru】 (ページ9)

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６－９　神山side ページ9

真っ白な部屋。

あるのは真っ白なベッドと水の音。
目の前には本間さんが立っている。

…この部屋に足りないのは…A…

本「…ドリームチャンス…問題を変えたのはお前自身の意思なんだな？」
神「…はい…あれは…神山悟の意思です…」

思わずベッドから立ち上がる。

神「俺の名前は…神山悟なんですね…？」

そう言うと本間さんは薄く笑った。

神「あっ…あと…あと、Aは…どこですか、どうして、俺のところに、帰ってこないんですか？…桂木…、あの人が…」

Aがぐったりとした姿で画面から消えるのを見て以来1度も見ていない。

本「…お前は、Aをどれだけ苦しめれば気が済むんだ。」
神「え…？」
本「どうして、忘れてしまうんだろうな…」

本間さんは少し悲しい顔をした気がした。

神「本…」
本「Ａの１２５号室。」
神「？」
本「…そこにAはいる。」

そう言って本間さんは部屋を出て行ってしまった。

急いでその部屋に行こうと、するが急にフラッシュバックがおこる。
桂木さんと出会ったときの記憶。

いつも、いつも、美咲という女の子がいた。
…だけど、もう1人。もう1人いるんだ。

ハッキリと思い出せない、もう1人の女の子。
大切で、苦しむ姿は見たくなくて、笑ってほしくて、幸せになってほしくて。

本間さんがわざと開けっ放しにしてくれた扉を開けＡの１２５号室を目指す。

Aのことが時々わからなくなる。
誰か分からなくて、不安で、傷つけてることも知ってる。

Aは懐かしい気がするんだ。
笑ってると安心する。

最近、発作が良く起きる。
その姿を見るのが苦しくて、
まるで、前からやっていたかのようにAを抱きしめる。

初めて会ったはず。
マネージャーだと言われた時に。

そのはず…なのに…本間さんの言葉はどういう意味なのか。

俺が忘れていることはまだあるのか。

Aも俺の記憶に関係しているのだろうか。

白い、ワンピース姿のA。

見覚えは……ある…。

…今すぐ、抱きしめたい。

…今すぐ、キスしたい。

白いズボンのすそを引きずりながら必死にＡの１２５号室を探した。