想定外結婚相手【あほの坂田】

分かってた ページ21

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“好きじゃないようには見えない”

一体どういうことなのだろう。
言葉の通り？優斗くんが私のことを好き？

…いやいや。ある訳ない。
この夢女子脳の私だ、そんなことを思いながらもどこかで期待している惨めな自分がいる。



『ある訳ない、よね……』



そう思って部屋のドアを開けた。
その途端、いい香りが私の鼻に入ってきた。

いい匂い…と思わず呟けば、視線の先に赤いエプロンをした優斗くんが食事を運んでいた。
作ってくれたの……？



「あ、お、おは、よう……」


『うっうん、おはよ…』



思わず素っ気ない態度を取ってしまって、視線を逸らした。
もう一度優斗くんを見ると目が合う…なんて二次創作のようなことはやはりなく、逸らされたまま「朝ごはん作ったから食べよ？」と言われる。

あ、うん……としか返事ができなくて、椅子に座る。



『いただきます』



手を合わせて頬張る朝ごはんは確かに美味しくて、さかたんってこんなお料理上手かったっけ？なんて疑問が浮かんだ。



「ごめん、俺仕事行ってくるから！！」



私からの注目を朝ごはんにいかせたことで、優斗くんはそれをいい事に部屋を出て行ってしまった。

……まあ、そうだよね。




『こんな最低な人となんて一緒にいるだけで息苦しくなるよね……』



分かり切っていた、ことだけど。



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