神山くんと恋をする。3

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「Aさん！」





残業を終え、
本当にラーメン屋にいるの？なんて思いながら
とりあえず駅を過ぎて駅前のラーメン屋に向かう。




ラーメン屋の横で携帯片手に
私を見つけて手をあげて私を呼ぶ小瀧くん。



ああ、本当に待っていたのか。
ちょっとがっかりする私。





そしてともくんに小瀧くんと食事をする、と
具体的に言っていない罪悪感。
素直に言えばきっと分かってくれると思うけど。
今のともくんは忙しそうだし余計な心配させたくない。





ラーメン食べたら、すぐに帰る。
なるべく距離を取る。
1人で呪文のようにぶつぶつ言っていると、
小瀧くんに手を握られる。





「ちょっと！離してよ！」




「やっぱ予定変更！俺飲みたい気分です！」





そう笑ってグイグイ私を引っ張る小瀧くん。
何を考えているのか分からない。





「分かった、付いてくから離して。」





「ガード固いんですね。笑」





「当たり前でしょ。」





「ははっ、すげー警戒心やな！
神山さんには俺とご飯行くって言いました？」





「……。」





「ほんまAさん分かりやすいわぁ〜。
まぁ会社の後輩に弱み握られてご飯行く、なんて
言いにくいですよね。それも男やし。
神山さん今忙しいから、心配させたくないんですよね？」





「分かってるなら、やめてよ。」





「嫌です、俺Aさんと仲良くなりたいんやもん。」






年下、それもモテるタイプの小瀧くんは
なかなか掴みにくい。





同じモテる人種の桐山先輩、シゲ先輩、ともくんとは
少し違うタイプで。年下だから余計になのかな。
確信犯、と言ったらいいのか。





恋愛偏差値低が低い私にとって小瀧くんは
とにかく掴みにくい、まるで宇宙人のようだ。











小瀧くんと入ったのは、お洒落なバー。
小瀧くんの行きつけらしい。





ほんとに警戒心しかなくて、
小瀧くんのこと全然知らないのに
チャラいな、とか決めつけてしまう自分にも嫌気がさす。





「あっ美味しい！」





「やろ？ここお酒もご飯も美味しいんよ！」





「あんまお酒強くないけど、飲みやすい！」




「Aさんやっと笑ってくれたな。」




そう言って微笑む小瀧くん。
やはり整った顔で、笑うとさらにイケメンだ。
きっと何人もの女の人を落としてきたに違いない。




私ももしともくんと付き合っていなかったら、
ときめいてたのかもしれない。






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