無償の愛を、 (ページ3)

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無償の愛を＃００１ページ3

「－－－－此処("新天地")から出る事は許す事は出来ない。だって貴女(薺)は"新天地"の皆から必要にされる事位、身を持って知っているでしょう？」

「貴女(薺)が居なくなれば雨魔法を使う者は居なくなり、木の実も採れなくなりこの島は無くなってしまうの、貴女の祖先が作り上げたこの島‥‥が。其(それ)でも良いなら出ていきなさいその代わり、この子だけは置いて行きなさいアゲハントは貴女がこの子を使って捕まえたポケモンだもの」

「出て行くなんてあたしは言っていません、今日保護したフォッコをトレーナーの元へと返す為に"新天地"から"旧天地"へ行くと言っただけですフォッコを返したら直ぐに帰ります。あたしが"新天地"を捨てる事なんて出来ませんから」

「あらそうだったの。この子は返す必要は無いわね、約束通りフォッコをトレーナーの元へと返したら直ぐに帰って来なさい島の皆は薺の帰りを待っているわずっと」

美しく腰迄届く枇杷茶髪が生暖かい風で靡く彼女の隣で優雅に舞うアゲハントの姿を見て、彼女は先程の緊張し笑みが無かった表情は緊張が解れ笑みを見せる。幼い頃からの長い付き合いで誰にも言えない事も、アゲハントの前なら何でも言え薺が心を開き薺が薺らしく振る舞える唯一の存在で有り、家族でも親友でも有るのだ

明日は朝が早い、人生初めて"新天地"の土地から離れ違う土地の土を踏むのだ。隠しきれない笑みを浮かべながらアゲハントと共に家へと向かう

－－－－「あの事」を忘れたままで