婚約者21 ページ22
＊
「……る、あ……だ……やく……よ」
ふわふわとまどろむ意識の中、誰かの声が聞こえた。
……うるさいなあ。もう少し寝かせてよ……って、あれ？
俺、いつの間に寝たんだ？ というか、どうやって家に帰ったんだっけ。
そもそも俺、一人暮らしなのに誰かの声がするって、え？？
まずい。何か、凄く大事なことを忘れているような……
「──渉、朝だよ。早く起きなよ」
……nuvolaさんが、俺の名前を、呼んでる？ ぼんやりとしたまま目を薄く開き、ゆっくりと体を起こす。開け放たれた襖から差し込んだ朝日に目を細めた。……眩し。
「あ……A……？」
「ああ、やっと起きたかい。おはよう」
次に、床にしゃがみこみ、俺の布団を今にも剥ぎ取ろうとしているAの姿が視界に映る。あ、思い出してきた。そうだ昨日、うちのバカ親共が勝手に決めた婚約を断りに行って、でもそこにいたのがAで……。
「はよ……？」
「それじゃあ僕は仕事に行って来るから。夕飯食べてないからお腹空いてるでしょ？ 朝食は草壁に作らせてあるから、それをもらって」
とりあえず、挨拶を返す。
……えーっと、それで、なんだっけ。つうか、ここ俺ん家じゃねえのか？ なんでAがここに居るんだ？ つか、俺ん家、襖なんてないし……んん？
彼女の言葉を話半分に聞きながら寝起きの脳は益々混乱を極めていく。それに、何故か体を起こした時から首の後ろが痛い。
しゃきしゃきと必要事項らしきことを話終えたらしい彼女が部屋から出ていこうとす……って、いや、待て待て待て！
「っA！」
「何？」
慌てて彼女のスーツの袖を掴み軽く引くと、怪訝そうに眉を顰められる。急いでいるのかもしれない。そしてそれは、俺を起こすのに手こずったせいかもしれない。それは申し訳ない、が！
「なあ、ここ何処なんだよ？」
「……覚えてないの？」
これだけは少なくとも聞いておかないと！！ 他にも色々聞きたいことはあったが、とりあえず。
そう思って尋ねると、彼女は少し驚いたような表情を浮かべ、さらっと爆弾を投下した。
「僕の家だよ。君、あの後眠ってしまってね。まあどうせしばらく一緒に暮らすことになるんだからいいと思って、そのまま泊めたんだよ」
「……は？」
爆弾は爆弾でも核爆弾並の衝撃を一気に受け、思わずフリーズする。
ツッコミどころが多すぎてどこからツッコんでいいか分からないとは、まさにこのことである。
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ゆきか - 初コメ失礼します！すごく好みの作品で楽しく見させていただいています！続き待ってます！ (2019年10月28日 16時) (
レス) id: f42ad21887 (このIDを非表示/違反報告)
夢うさぎ??(プロフ) - ゆうりさん» コメントありがとうございます！ あわわ、面白いだなんて……ありがとうございます！！ まだまだですが、より面白い物がかけるように頑張ります！ (2019年7月1日 3時) (レス) id: 4da07b4f90 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうり - 関連作品ランキングにあったので、読んでみたら凄く面白くて一気読みしてしまいました。受験大変ですよね(-_-;)私も去年大変でした。 頑張ってください！応援してます！ (2019年6月30日 16時) (レス) id: 616da87ebb (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - むにゃさん» コメントありがとうございます！ 頑張ります！！ だいぶテストやばいんですが、人生初ライブなんでなんとかしたい、いやしてみせようと思います！！ (2019年4月3日 17時) (レス) id: 8a8c64050c (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - 露都さん» コメントありがとうございます！ 死ぬ気で頑張ります！！ 更新はしばしおまちを……。 (2019年4月3日 17時) (レス) id: 8a8c64050c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢うさぎ | 作成日時：2019年3月26日 16時
