九十四話 ページ18
そして翌日。
「えー、それでは調理実習の説明を始めます。まず……」
デニム地の丈の長いエプロンと三角布を着け、先生の話を右から左へと聞き流す。
お気に入りのエプロンを着ているというのに、僕の気分はまるでガチギレしたセンパイに遭遇したがごとく最悪である。
まぁ遭遇したことないんだけど。されぐらい最悪ってことだ。
……このエプロンはだね、僕の母さんが毛糸で作ってくれた青いのリボンのワッペンを着けててね、家でも愛用している、着ただけでテンションが上がる一点物なんだよ！！
なんてやけくそ気味にテンションを上げようとするものの、そんなことテンションが上がれば始めから苦労はしないのだ。
むしろちょっと虚しい。誰に自慢してんだ僕。
「……それでは、作業を開始してください！」
先生がにこやかな表情でパンッと軽く手を叩くと、途端にクラスメイト達がざわつきだす。
やべ、説明一切聞いてなかったわ。まあでも、おにぎりとお味噌汁ぐらい作れるっしょ！ こう見えて料理出来る系女子だし？
……おい、見えないって言ったの聞こえてんぞ。瞬間記憶能力舐めんな。
え、つまり努力してない？ ……あーあー、聞こえないなー。
「Aちゃん！」
「…お、おっふ！きょ、京子ちゃんー。」
「おっふ……？」
「き、気にしなくていいですよー。」
突然僕の前に舞い降りてきた天使に、某アンテナ超能力者が出てくる漫画のモブみたいなことを口走ってしまった。
ああ、今日も可愛いなぁ。尊い。
京子ちゃんは少しの間首をかしげていたが、すぐに笑顔に戻り、
「ね、Aちゃんも良かったら一緒に作らない？」
「是非ー！」
……なんてあざとかわいいんだ君は。大きな瞳で上目遣いで見つめられ、思わず即答してしまう。
いやこれ断る奴人間じゃないから。
「京子ー、なにしてんのー？あ、A。」
「どうもー。」
少し離れたテーブルから花ちゃんに声をかけられる。
あああ、僕今の返し愛想悪くなかった！？ 最低だ！！
「Aちゃんを一緒に料理しようって誘ってたの！」
何故かエッヘン、と胸を張る京子ちゃんを不思議に思いながらも、二人で花ちゃんのいるテーブルへと向かう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月紫 - 更新、待ってます。無理をしない程度に頑張ってください。 (2020年9月27日 21時) (
レス) id: 5ec5a7e528 (このIDを非表示/違反報告)
夢うさぎ(プロフ) - asukaさん» コメントありがとうございます！！めちゃくちゃ優しいコメントだ……頑張ります！！ (2019年4月25日 18時) (レス) id: 8a8c64050c (このIDを非表示/違反報告)
asuka(プロフ) - 更新、とっても楽しみにしています！がんばってくださいね！＾＾ (2019年4月24日 20時) (レス) id: 326cbaa1c0 (このIDを非表示/違反報告)
夢@雲雀さんのムスッがかわいすぎてヤバイ(プロフ) - 弥生さん» ありがとう！！頑張るね！！……骸さんピュアにしたかったのにできなかったが(白目) (2018年12月7日 23時) (レス) id: be5de4e45a (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - 学校から帰って読んだら発狂した(*´∀｀*)疲れがぶっ飛んだぜ☆楽しみにしている!! (2018年12月7日 22時) (レス) id: 6f48ec4925 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢うさぎ | 作成日時：2018年11月29日 5時
