【d!】必要とされたい【短編集】 (ページ5)

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〇優しくしたるから＊sha ページ5

｢ねえ、シャオ抱いて｣

俺を押し倒して、馬乗りになりながら俺を誘ってくる。Aがこんなことを言うときは、だいたい嫌なことがあったとき。

sha｢抱かへん｣
｢なんで！！｣
sha｢そんな顔してる奴のこと抱けへんわ｣

Aの瞳は涙を溜め込んで、ゆらゆらと揺らいでいる。今にも涙がこぼれ落ちそうなのを、唇を噛み締めて必死に堪えている姿がいじらしい。

sha｢彼女のそんな悲しそうな顔見て勃たへん。そんなこと言うくらいなら、素直に『泣きたい』って言え｣
｢だって、シャオからかうじゃん…｣
sha｢からかわへん。これでもかってくらい眉下げて、涙溜め込んで、そんな顔してる奴からかえへんわ｣

堪えきれずにぽたぽたと涙を零すAの頭を引き寄せる。俺の上で、俺に縋るように声を押し殺して涙を流す彼女の頭を撫でた。

sha｢なにがあったかは聞かへんよ。落ち着いて、Aが話せるようになったら話せばええ｣
｢うん……｣
sha｢今は黙って泣いときや｣
｢……っ｣

ぎゅっと俺の服を握りしめて、声を必死に押し殺して泣き続ける彼女が愛おしい。俺にもこんな感情あったんやなぁ…と天井をぼんやりと眺めながら思った。

sha｢かわええな、Aは｣
｢からかってるじゃん｣
sha｢俺の本心やで？信じれん？｣
｢信じない｣
sha｢そっか｣

素直じゃなくて、不器用で、他の女より可愛げがないのに可愛くてたまらない。ずっと守ってやりたい、なんて柄にもなく思う。

｢ねえ、シャオ｣
sha｢なんや｣
｢重くない？｣
sha｢重いで｣
｢ひどっ！｣
sha｢でもな、今は重くてええんよ。ちゃんとAがここにおるって実感出来てええわ｣
｢…繰り返し重いっていうな｣
sha｢事実やし｣

そんな軽口を叩いていても、まだ僅かに声が震えている。普段元気だから余計に消えてしまいそうで、少しだけ怖くなるのは事実。

しばらくすると、すーすーと寝息が聞こえてきた。起こさないように俺から下ろす。彼女の顔を見ると、まだ目の端には涙が溜まっていた。温めたタオルをAの目において俺も隣で横になる。

sha｢はよいつもの笑顔を見せてな｣

そのまま彼女の隣で眠りについた。

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knっぽくなってしまった…