夕暮れ ページ5
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「‥‥‥‥フゥ。やっと山を降りれた‥‥‥」
肺にたまった二酸化炭素を勢いよく吐き出し、大きめの編み笠を深く被り直す。
その編み笠からはみ出るように見える銀の長い天パは、夕暮れの日を受けてキラキラと光っていた。
その髪の持ち主は赤い目を光らせ、手頃な木陰に座ると持っていた錫杖を軽く地面に突き刺してから、編み笠を取る。
風呂敷から大きめの握り飯を二つ取り出し、それを口に含んでは咀嚼する。
(山を降りるのに、随分かかったな‥‥‥)
予想以上に下山に時間をかけた事を悔いながら、一つ目の握り飯を食べ終わる。竹の水筒に入った湧き水を飲み、一息つく。
人差し指をひと舐めし、それを立てた状態で放置すると、吹いた風が彼女の指を撫でる。
(風下‥‥‥‥。当分、あそこの村人が来ない事を祈るか。)
風下という事実にホッとし、もう一つの握り飯を食しに入る。
食べ終えた頃に、茂みがガサッと音を立てる。それとほぼ同時に編み笠をかぶり、錫杖を抜く。
風呂敷を包み直し、背中に背負うと、その茂みをしっかりと見つめる。
もう一度大きな音を立てて出てきたのは
兎だった。
そして、向こうから微かに二人の男児の声がした。
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山乙女 桜(プロフ) - ぽんすさん» ありがとうございます!!‥‥‥‥作者のくせに、何で自分の範囲を分かってないんだろう‥‥‥(理由 掛け持ちをしているバカだから)本当にありがとうございます! (2018年9月19日 19時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんす(プロフ) - 山乙女 桜さん» まずは、のページでした。(細かい事で申し訳無いです...)楽しく読ませて頂きました。続きが楽しみです(*´ω`*) (2018年9月19日 18時) (レス) id: 2d0a9b218e (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - ぽんすさん» てかゴメンなさい。自分でどこにその単語入れたか忘れました。教えてください←オイ (2018年9月19日 17時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - ぽんすさん» ゲ‥‥‥。私としたことが‥‥‥。誤字の指摘、ありがとうございます! (2018年9月19日 17時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんす(プロフ) - 凄いどうでもいいですが、洛陽ではなく→烙陽です (2018年9月19日 14時) (レス) id: 2d0a9b218e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山乙女 桜 | 作成日時:2018年7月22日 17時