其の丗参 時には昔の話をしようか篇 ページ36
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「いらっしゃい、新規の旦那。ワシに、何の用で?」
阿伏兎「白々しい真似すんじゃねぇよ。なぁ?
紅蓮さん」
その言葉に、Aは大笑いする。
それを怪訝そうに見る阿伏兎。
ひとしきり笑うと、それによって出た涙を拭いながら、こう言った。
「久しぶり、阿伏兎。神威は元気そうだねぇ」
阿伏兎「久しぶりだな、A。いや、
元春雨総師団団長兼提督補佐兼第七師団団長補佐兼春雨専属芸妓様。」
「長いわ」
阿伏兎「団長、来てるのか。緋桐の野郎、なんか企んでると思ったら‥‥‥」
「あいつはいい奴じゃないか。私がここにいるって言うのに、アホに報告しないでいる。その代わり、下世話でウザいけど。」
阿伏兎「やめろ思い出したくない。」
それにクスクスと笑う。煙管に口を付ける。
阿伏兎「見つかるなよ。」
「あたぼうよ」
私がそんなマヌケな事する訳がない。と、とても自信ありげに言う。
阿伏兎「‥‥‥鳳仙が関わったら、どうなるんだ。お前は。」
それに、一瞬。ほんの一瞬だけ、動きを止める。
「‥‥‥‥アレは、終わった事じゃき。もう、振り返る理由なぞ無いでありんす。」
口調が元に戻る。
そして、「それに‥‥‥」と言葉を続ける。
「ワシは、あの人のそばに居ることしか出来んかったんじゃ。あの人が望んだのは、ワシじゃのーて
阿伏兎「俺は、鳳仙が望んだのはお日さんなんかじゃねーと思うけどなぁ。」
そう言って、笑ってみせる阿伏兎に、Aも微笑みを返す。
自分に背を向けて座れ、とAが指示すると、阿伏兎はその通りに動く。
その背中に、Aは自分の背中を預けた。
阿伏兎「重い」
「殺すぞ」
軽く目を閉じる。
「‥‥‥なんか、懐かしい。」
さっきの口調になり、口ずさむように言う。
阿伏兎「‥‥‥鳳仙は、お日さんじゃなくて、お日さんに似たものが欲しかったんだよ。
お前は、ずっとあいつのそばにいた。
親のいねぇ俺が、親のいねぇお前に言えたこっちゃねぇけど、
俺たちにとっちゃあ、親はあいつだったんだろ。
鳳仙にとっちゃあ、俺たちは子供だったんだろ。
《家族》の概念が少ない夜兎族からすれば、十分お日さんだろ。」
「‥‥‥‥うわぁ、いいこと言うね。今なら阿伏兎に惚れそう。」
阿伏兎「ほざけ」
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山乙女 桜(プロフ) - 獅子の子さん» 大丈夫です私もあぶちゃん大好きです←。分かりました!ネタの提供、ありがとうございます! (2018年8月1日 5時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あと山桜さんの小説自体が凄く好きです!いつもありがとうございます...! (2018年8月1日 0時) (レス) id: 8b211097c0 (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あの…ネタ提供なんですが…阿伏兎と付き合ってる設定で一個欲しいです…いやあの神威落ちの小説ってことは知ってます、知ってるんですけどもね、あぶちゃん好きなんです自分(完全な私的好み)いやあの、ハイ。おなしゃす!!m(_ _)m (2018年8月1日 0時) (レス) id: 8b211097c0 (このIDを非表示/違反報告)
山乙女 桜(プロフ) - kamiyakazi725さん» 分かりました!ネタの提供、ありがとうございます! (2018年7月27日 6時) (レス) id: c43285d175 (このIDを非表示/違反報告)
kamiyakazi725 - こんにちは!とても楽しくこの小説を読ませてもらってます!さっそくなのですが、私沖田君が大好きなんです!なので沖田君との絡みが欲しいです! (2018年7月26日 23時) (レス) id: 7058246684 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山乙女 桜 | 作成日時:2018年6月30日 19時