かっぷる＊STORY

雨の中の仲直り/イマイチかっぷる ページ39

「っ…もういい！隆二の好きにすれば！」



あれは1時間ほど前
ほんの些細な喧嘩だった。

いつもはごめんねって頭ポンポンしてくれる隆二なのに
今日はお互い折れる事はなかった。


財布もスマホも持たず飛び出した私。
肌寒くなってきてそろそろ帰りたくなってきたけど
喧嘩しちゃった手前帰り辛い


適当に歩いてる内に3キロくらい離れた公園まで来て
ベンチに座る。


すごく広い公園だから
この時間でも走ってる人とか犬の散歩してる人とか居てそんなに寂しくない。



別に飛び出してくる程の事じゃなかったかもなーなんて1人冷静になれば後悔ばかりが出てくる



─ポツポツ…ザーッ


空見てなかったから気づかなかったけど
いつの間にか雨雲は突然の雨を連れてきた


「やっばー！あー…もう最悪」


急いで屋根のあるベンチへと走るけど思ったよりも雨は酷くてもう既にびちょびちょ


財布置いてきたから傘買う事もタクシーに乗る事もできないし…
大きな溜息をついて止む気配のない空を見つめる


待ってても仕方ないし歩いて帰るしかないかな
ここまで濡れちゃったらどうでもいいや


雨宿りを止めて歩き出した私に雨は打ち付けるけど
頭冷やすには丁度いいかな


こんな遠い所まで来なきゃよかった
いつもより早足で家へと向かう


「Aっ！」


ボーッとしながらとぼとぼ歩いてると呼び止められて思わず立ち止まった先には隆二


傘を片手に持って隆二もびしょびしょで
サラッと羽織られてた白いシャツは雨に濡れて
隆二の逞しい身体が透けちゃってるし
なんかもう色気ムンムンだし


私の元に来て持ってた傘を開いてさしてくれたけど…


「なんで傘持ってるのにさしてこなかったの？隆二までびしょびしょじゃん」


「あっ！本当だ…雨降ってきたから迎えに行かなきゃって俺焦って自分もさすの忘れてた」



こんな所まで天然な隆二に思わず笑っちゃって
ザーザー降りの雨の中もう既にびしょびしょだけど
相合傘の下2人笑い合う



なんで喧嘩しちゃったのかなんてどうでもよくなった雨の中の仲直り

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