初対面 ページ4
誕生日から数日経ったある日。
私はwave10周年、橘薫20周年のanniversaryアルバムの宣伝で大阪のテレビ局を訪れていた。
某大御所女性漫才コンビの番組と言うこともあり、緊張はボーダーラインを越え吐きそうである。
そんな私に就任２年目の新人マネージャー優也くんが薬と水を用意してくれる。
何て優秀なマネージャーなのでしょう。
それもそのはずで、入社面接の時に彼が言い放った言葉は、社内でも有名で知らない者は誰一人としていない。
わが社の伝説になっている。
薬を飲み落ち着きを取り戻した私に、スタンバイの声がかかった。
「さぁ、今日は素敵なゲストが来てくれています。20歳して芸歴20周年のベテランwaveの橘薫ちゃん」
紹介されてよろしくお願い致しますと頭を下げつつ出ていくお決まりの行動。
のはずが、頭を上げて目線の先にいたのは、今一番注目している漫才コンビの和牛。
貰った資料には和牛の名前は書かれていなかった。
「すみまんせねぇ。今日は若手の子ら何組かが見学に来てましてね」
目線が泳いでいる私を気にしてか、説明をしてくださった大御所さん。
そうですか。なんて笑顔で流し、質問に答えていく。
何個目かの質問で
「漫才が好きやって聞きますけど、関西で気になる芸人います？」
なんて聞くものだから、これは御本人様たちにお伝えするチャンスだと思い目線を合わせ
薫「和牛です」
御本人様たちは驚いた様で、でもすぐにペコペコお礼を言いながら頭を下げてくれて、それに応える私。
薫「以前、前座をされているのを拝見してから勝手に応援させていただいています」
何ともテレビ向けな回答だが事実でしかないので、これ以上にも以下にも言えない。
それから何問かの質問に答え、告知をさせて頂いたところで番組は終了。
お疲れ様ですと単調な挨拶が飛び交いそれぞれに解散をしていく中、後ろから声をかけられてしまった。
早くこの場から立ち去りたいのにと心にとどめながら振り向くと、いたのは……………
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作者名：美音 | 作成日時：2019年2月28日 16時
