親友との出会い ページ3
確かあれは大河ドラマに出演させて頂いていて忙しかった私は、突然舞い込んできた休日に劇場に行きお笑いを見た後、近くのカフェで作詞に励んでいて書類をばらまいたからだったと思う。
大丈夫ですかと親切に拾ってくれたのが綾部くんだった。
お礼にとクリームソーダを一杯ごちそうした事からこの関係は始まった。
綾部「さっき劇場にいましたよね?」
A「ぇ………はぃ……」
綾部「良かった。似てるなって思って」
そうですか。と笑顔を返すしかできない。
元々口下手なのに、何故誘ってしまったのか自分でもわからなかった。
綾部「今日だけじゃなくて、時々来てますよね?」
これもまた笑顔で頷くのみ。
お客の顔をよく覚えてるなぁと思いながら、思い出してみる。
A「あっ! ピースの人!!」
綾部「そうです! あっ! 話すのは少しずつで良いから」
そんな優しさに笑顔で頷き、そこからは少しだけど会話も弾み、連絡先を交換した。
もう少し話がしたいと思えた人。
メンバー以外に長時間話す他人は綾部くんが初めてだった。
そんな昔の事を思い出して、少し微笑んでいたら
綾部「どうした? 一人の世界?」
いつの間にか養父との話が終わっていた様で、話しかけてきた彼、綾部くん。
その首の傾けぐあいは萌える。
わざと同じくらいに首を傾け
A「なんでもない」
そう言って、また飲み進める。
私、お酒好きかもしれない。
綾部「そういえば、最近ハマってる芸人がいるらしいじゃん」
A「えっ? あー、和牛?」
綾部「関西の?」
A「そうそう! おもしろいよ!」
そこからは、ひたすら和牛の魅力について語り始めた私。
笑顔で聞いてくれる彼は、昔とかわらず。
あの頃と少し違う事と言えば、私の気持ち。
最初の一杯を飲んだ時と、初恋は似てる。
両方苦い。
でも、後から甘くもなる。
きっと、お酒を好きになるだろう。
そして、綾部くんが私の初恋だったことは、私だけの秘密。
絶対言ってあげないんだから。
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作者名:美音 | 作成日時:2019年2月28日 16時