八話/ 孤児院での夜 ページ8
その日はあまり寝付けなかった。
体を起こして耳を澄ますと誰のものかも分からない寝息が聞こえた。
｢ーーーー｣
Aは
昔の友人に寝付けない時は本を読むのが1番だと教えて貰ってからはほぼ毎日、こうして本を読んでいた。
｢ーーーー｣
暗くて文字がよく見えなかったので灯りを探すと、職員が持っていき忘れたのか部屋の隅にちょこんと
抜き足差し足忍び足で其れを取りに行く。
そして枕元に置いてから灯りの元を覗き込んだ。蝋が今にも溶けきってしまいそうなくらい短くなっている
。
｢ーーーー｣
Aは再び本に目をやった。
ーー今読み進めている本も丁度数頁程で読み終わるところだった筈だ。本を取りに行くついでに蝋燭も取りに往けばいい。
そう考えて、Aは本を開いた。
此の本は例の古い友人に勧められた内の一つだった。
彼が態々勧めてくるだけあって、今ではお気に入りの一冊になっている。
｢ーーぁ｣
そんな感慨に耽けり乍ら読み進めていると、蝋が溶け切ってしまった。暗くて文字どころか何も見えない。
｢良かった｣
何が良かったのか、と云うと丁度本を読み終えられたところだったのだ。Aはなんて空気の読める蝋燭なのかと若干感動し乍ら
床は足が凍りそうなほど冷たいが、少しの辛抱だ。
頑張れ、と自分を鼓舞する。
Aは角灯を右手に、左手に本を抱えて歩いた。
ぺたぺたと裸足特有の音が鳴るのを防ぐ為、爪先立ちで慎重に歩みを進める。
Aの最初の目的地は本棚だった。
本棚には数え切れない数の本が所狭しと並んでいる。が、次に読む本を決めていたおかげで直ぐに目当ての物を見つけることができた。
だがその本は十七の少女の背丈では届きそうもない高いところに並べられている。
｢……ふ｣
子供の扱いは酷い癖に本等の勉強道具は十二分に揃っている事に思わず苦笑が漏れた。
ーーこの施設は一体子供に何を求めているのだろうか。
一瞬、そんな考えが頭に浮かぶが、それは直ぐに霧散して消えていく。
考えたって仕方の無いことだ。
｢よし｣
それから気持ちを切り替える為、深呼吸して再度目当ての本を見た。矢張り、どう頑張っても届かない高さにある。
｢ーーーー｣
頭の中である言葉を念じる。
するとーー小さくだが聞き慣れた音が鼓膜を震わせた。
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女中(プロフ) - よくねたしおだおぉぉぉぉ！！！さん» 米有難うございます励みになります！！！初めてコメントとかきて過呼吸なりました(Tほんとに！！有難うございます！！！ (2022年2月7日 9時) (
レス) id: 44e9453d1b (このIDを非表示/違反報告)
よくねたしおだおぉぉぉぉ！！！ - ｳﾜｧ、、好き、、もっと評価されるべき！更新待ってます！！！ (2022年2月6日 19時) (レス) @page45 id: a2762c3708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：女中 | 作成日時：2021年12月4日 16時
