四十四話/走れ少年 ページ44
「貴方に何があったのか、私は知りません。でも、こ、ういうのは止めた方が善いと、思い、ます……犯罪ですし」
「ーーや、ややややめなさーい!親御さんが泣いてるよ!」
「敦君!!」
「な、何だアンタ等っ」
後半になるにつれて語気の弱くなるAを敦は後ろから援護射撃。その敦の登場にAと爆弾魔の声が重なった。
「ーーは、ぁ」
二人の怒鳴り声に、敦は震える躰を落ち着かせようと奮起する。だが、頭に浮かぶのは疑問ばかりで。
ーー何故、こうなったのか。如何して自分とAが爆弾魔の説得に出ているのか。誰の提案で、誰に背中を押されて、誰の背中を見て、中島敦は此処に立っているのか。
その尽きない疑問の答えはーー、
※※※※※※※※※※※※※※
ーー時は、中島敦が飛び出して行った少し前に遡る。
「社員が行けば犯人を刺激する。となれば、無関係で面の割れていない君達が行くしかない」
それは、敦とAの余命宣告にも思える言葉だった。
「むむ無理ですよそんなの!第一どうやって」
「それなら私が行きます。だから、敦君は此処に居て。ーーそれで、いいですよね?」
「勿論。ーー行って、犯人の気を逸らせてくれれば後は我々がやるよ」
判らない。
どうしてそこまでAは敦の事を気に掛けてくれるのか。
だって、初めて会ってから未だ
孤児院でもとりわけ仲が良かった訳でもない。話し掛けてくれたのはAからだったが、それも一度きりだった筈。
なのに、それなのに、どうして。
「ーーぁ、Aちゃ」
「信用し給え。この程度の
「ーー敦君を、お願いします」
そう云い残してAは名残惜しげに敦を見つめると、行ってしまった。
「ーーぁ」
震えて、いた。
敦の前では気丈に振る舞っていたけれど。
前へ前へと進んでいく少女の細い脚は、震えていた。
「ーー!?」
ふと、背中を押される感触に、敦は前によろめき乍ら振り向く。
見れば、太宰がしたり顔で親指を立てていた。
お互いに言葉は交わさないけれど、判る。伝わってくる。太宰の視線の意図が。
「ーーっ!!」
その視線に背中を押されるがまま、敦はAの背中を追って、駆け出して行った。
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女中(プロフ) - よくねたしおだおぉぉぉぉ!!!さん» 米有難うございます励みになります!!!初めてコメントとかきて過呼吸なりました(Tほんとに!!有難うございます!!! (2022年2月7日 9時) (レス) id: 44e9453d1b (このIDを非表示/違反報告)
よくねたしおだおぉぉぉぉ!!! - ウワァ、、好き、、もっと評価されるべき!更新待ってます!!! (2022年2月6日 19時) (レス) @page45 id: a2762c3708 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:女中 | 作成日時:2021年12月4日 16時