54話 ページ7
「皆さん!静粛に。」
「あ、藤次だ。」
突然ステージに現れた藤次は、観客を沈めると悠馬に向き直り口を開く。
この学園の首席とは一流であること。
しかし、悠馬はその一流からかけ離れている。
そんな悠馬を、同じ首席を目指すライバルと認めるわけにはいかないと藤次が言い放ったところで、再び歓声が湧き上がる。
「よく言ってくれた針宮ー!!」
「流石!俺たちの思ってること全部代弁してくれたぜ!」
その様子を相変わらず冷めた目で見つめていたAはボソッと呟く。
「はぁ、くだらねぇ…。」
「……。」
「一人一人大したこともねぇくせに、集団で強がって喚き散らす。あぁいうのは見てて気持ち悪ぃな。」
「…そうだな。」
孝臣がAの意見に賛同していると、突然Aに声がかかる。
「珍しく納得のいく意見ね。今のは酷いと思ったわ。」
「あ?雫か。何しに来たんだよ。」
「ステージに注目が集まったお陰でちょっと暇ができてね、約束通りあんたんとこの店長に会いに来たのよ。」
「あぁ。そいつならあそこに…。」
「ピメりん!?うわぁこんなに近くに!!」
たまたまこちらを見た店長は、雫の存在に気付き声を上げる。
「あはは、あの人ね。ちょっと行ってくるわ。」
「いってら。」
雫が店長の元へ向かったのを見届けると、Aはふと出口の方を見やる。
そこには、心なしか肩を落とし、会場を出て行こうとする悠馬が見えた。
「…………。」
「何だ、やけに心配するじゃねぇか。追いかけて慰めの言葉でもかけるか?」
出口をぼーっと見つめるAに孝臣が声をかける。
「なっ…別に心配なんてしてないよ!それに…そういうのはあいつの役目なんじゃない?」
「あいつ…?」
孝臣がAの目線を追うようにして見ると、そこには出口に向かう柳の姿が。
「…あぁ、だな。」
「うん。てことで、Aは気にせずハンバーガー食べようっと!」
「おい、3個目は無しだ!!」
「ええぇ!?そんなぁ…!!」
「食い過ぎなんだよデブ。」
「デ…っ!?!!?」
Aはショックで泣き叫ぶ。
「ちょっと、女の子にデブは酷いわ孝臣君…。ほら、私のタピオカで良ければ少し飲む?」
「うぐ…っ………うげ、何この食感…まずい。」
「あんた何でタピオカ逸品にしたのよ!?」
店長の元から戻ってきた雫は呆れて溜息を零した。
そんな感じで、新歓パーティーの夜は更けていったのだった。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茶虎 | 作成日時:2019年11月18日 15時