6話 ページ7
「Aさ、人に優しくされたのも、あんな風に女扱いされたのも初めてだったから…嬉しかった。」
「……。」
先程までとは別人のように、急にしおらしくなったAの態度に孝臣は戸惑う。
「お前みたいな人は初めてだ…。さっきはあんな態度をとって悪かった。」
「いや、別に…。」
「…………。」
Aはそのまま黙り込む。
孝臣もどうしていいかわからず、2人はそのまま会話をせず事務所へと到着した。
「あっ!!おかえりなさい!!豹華さん、無事だったんですね!!」
「……あ?あぁ、お前あんま大金持ち歩くんじゃねーぞ。後、男ならもう少し鍛えろ。」
「え?は、はい…!!あの、朝は助けてくれてありがとうございました!!」
「別に道の邪魔だったから蹴っただけだし。つかもうだいぶ暗いしとっとと帰れよ。」
「あ!はい…あの、じゃあ獅子丸さん、お金…。」
孝臣は少年の差し出したお金を見て半分を突き返した。
「え…?」
「こんだけでいい。」
「で、でも!こういう場合だとだいたいこの金額って…。」
「うるせーな。俺がいいっつってんだからいいんだよ。こいつの言う通り暗いしもう帰れ。」
「……っ!!あの、本当に2人ともありがとうございました!!」
少年はそのまま深くお辞儀をすると家へと帰っていった。
「ハーッ、ようやくひと段落した。お?孝臣、お前も依頼片付いたのか。」
「おう。こいつが捜索依頼されてたやつ。」
仕事を終え、肩を鳴らしながら孝臣の父親はA達の元へと近づく。
「ア?この子怪我してんじゃねーか。結構酷いな。お嬢ちゃん、名前は?」
「…A。豹華A…です。」
「Aちゃんか。俺は孝臣の父親だ。Aちゃん、家に親御さんはいるか?」
Aは首を横に振る。
「父はAが産まれる少し前に離婚したのでいないです。母は小さい時に病気で亡くなりました。今はばぁばと二人暮らしですけど、昨日から明日の朝まで近所のお婆さんと旅行に行っていません。」
「あー…っと、なんか、悪いな…。」
「別に気を使うことじゃないです。」
孝臣の父親はバツが悪そうな顔をすると、車の鍵を持ってきた。
「じゃあまぁ、とりあえず病院行こうか。その怪我ほっとくと悪化するだろうし。」
「えっ…。」
「あ、もしかして保険証持ってなかったりする?」
「いや、あります…けど。」
Aは目を逸らして戸惑いの表情をみせる。
5人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うりぼー - 絵が上手すぎてびっくりしました。主人公めちゃかわ (2021年2月26日 2時) (レス) id: 8c3f058671 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茶虎 | 作成日時:2019年11月13日 15時