検索窓
今日:64 hit、昨日:74 hit、合計:188,147 hit

27 ページ27

夜中目が覚めた。どうにも寝付けなくて何か温かいものでも飲もうかと、暗く寝静まった廊下を歩きリビングへ赴く。あたりまえだがリビングには誰もいなくて、パチリとキッチンの電気をつけた。電気ケトルに水を入れてお湯が沸くのを静かに待っていた。するとドアが開く音がして、私はふとそちらに視線を向ける。ドアを開けたのはヒュースだった。

「ヒュース?」

まさか誰かがいるとは思わなかったのだろう、ヒュースも驚いたように私を見た。

「A」

「目が覚めたの?ヒュースもココアでも飲む?」

私がそう言うと目の前のヒュースは小さく頷いた。

ことり、とヒュースの前に温かいマグカップを置く。ヒュースはちらりと私を見上げると静かにマグカップに手を伸ばした。私はヒュースの前の椅子を引いて静かに座った。カチカチと時計の秒針が鳴る音。しんと静まり返った玉狛支部。ゆっくりと時間が過ぎるようだった。

私がマグカップに視線を落としていると、何やら別の視線を感じた。前に目を向けるとヒュースが私をじっと見ていた。

「どうしたの?」

ヒュースは少し眉を寄せていた。

「Aは随分迅と仲がいいんだな」

急にヒュースがそう言うものだから私は少し驚いた。

「迅と?それはまぁ昔から付き合いが長いから」

私の返事を聞いているのか聞いていないのか、目の前のヒュースは特に私の返事に反応を示さなかった。

「ヒュースは迅が嫌いなの?」

私の言葉に目の前の彼はピクリと眉を動かしてチラリとこちらに視線を向ける。

「嫌いだ、というより何を考えているか分からん、胡散臭い」

酷い言い様に何だか少しおかしくてクスリと笑ってしまった。

「確かに何考えてるか分かりづらいよね」そう私が笑いながら言うとヒュースはふん、とそっぽを向いた。

28→←26



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (252 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
628人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます!好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…!本当に本当にありがとうございます!嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね! (2022年10月1日 20時) (レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます!この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください! (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
- 璃々さん» コメントありがとうございます!手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです!続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました!不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね! (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します!近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです!!!夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます!頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
- ゆん。さん» コメントありがとうございます!世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます!私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…!これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します! (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2022年6月30日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。