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『戦闘開始！』
その声に一斉に私に集まってくる4人の隊員。孤月を握る手に力が入る。振り下ろされる刃を避けて孤月を彼の腹に当てる。僅かに感じたその感触にじわりと背中に汗が流れる。
後ろからもう1人が襲いかかる。振り向きざま孤月の峰を彼の首元に当てる。その瞬間彼の目と私の目が合って、一瞬私の目には彼の首から血が吹き出す映像が頭の中に流れる。どくん、と１回大きく心臓がなる。
それから残る2人をはじき飛ばして、試合は終了した。疲れていないはずだ。それなのに孤月を握る手と、背中には汗が染みている。どくん、どくんと心臓が徐々に音を大きくしながら動き出す。
再度5人で戦う。孤月の動きは鈍くなることは無い。それは5年もの間、戦いの中に身を置いていたから。戦力テストを繰り返す度、向こうの世界と繋がるような気がした。
。。。
「Aも3000点か」
戦力テストが終了した。ヒュースも誰にも負けることなく終了したようだ。
「君たち凄いね」
話しかけてきたのは嵐山さんと一緒に説明していた時枝さんという人だった。
「あと1000点でB級だね、ランク戦でポイント稼ぐといいよ。もう少し戦えそう？」
ヒュースは頷いてから、ちらりと私をみる。私は少し休みたかった。それは多分、このまま続けていたらきっと向こうの世界の、あの戦争の日々を鮮明に思い出してしまいそうだったから。
「ごめんヒュース、私は少し休むね」
「……そうか」
「お疲れ様、月刀さん」
ヒュースは何か言いたげだったけれど、私を無理やり連れていくことはなく、時枝さんとともに別のブースに入っていった。
近くの椅子に座る。ふう、と小さく息を吐いた。膝の上で無意識に手を握っていた。バムスターと戦った時は感じなかったけれど、やはり私の手は汚れているのだと突きつけられたようだった。今はトリオン体であるし、トリガー設定として人を切りつける感覚は本物とは違う。けれど刃を向けられた人の表情や僅かに感じる肉の感触、それがどうしても向こうの世界と重なってしまう。それなのに鈍ることの無い、体が覚えている『殺す』という行動。
「大丈夫ですか？」
ふいに視界に影が入る。声は上から聞こえていて、ふと顔を上げた。
「嵐山さん……」
「疲れました？」
微笑むように嵐山さんは優しく私に問う。
「……少しだけ」
「お疲れ様です」
そう言いながら私の隣に嵐山さんは腰をかける。彼と話すのはあの日以来だった。
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鏡 - なぎささん» なぎささんコメントありがとうございます！好きと言って頂けるだけでありがたいのに5回も読み直して頂けるなんて恐縮です…！本当に本当にありがとうございます！嬉しすぎて泣きそうです…不定期更新でご迷惑お掛けしますがこれからも頑張りますね！ (2022年10月1日 20時) (
レス) @page49 id: 79e67df0bc (このIDを非表示/違反報告)
なぎさ(プロフ) - 更新ありがとうございます！この小説が好きすぎて5回は読み直しました...これからも応援しております🥳ご無理のない程度に頑張ってください！ (2022年9月30日 20時) (レス) @page48 id: 0fe7f18098 (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - 璃々さん» コメントありがとうございます！手探りで進めているようなお話ですが面白いと言って頂けて本当に嬉しいです！続きも待ってくださるなんて本当に嬉しすぎて転げ回っております…本当に励みになりました！不定期更新で申し訳ないですがこれからも更新頑張りますね！ (2022年7月30日 0時) (レス) id: e6b083c4a6 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - コメント失礼します！近界から帰ってくるっていう新しいタイプのお話ですごく面白いです！！！夢主の実力がどのくらいかとかほんとに気になって仕方ないです…続き楽しみに待ってます！頑張ってください!!! (2022年7月29日 19時) (レス) @page31 id: e950c5fcca (このIDを非表示/違反報告)
鏡 - ゆん。さん» コメントありがとうございます！世界観にハマるだなんてとてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます！私もゆん。様のお言葉に励まされ飛び上がって喜んでおります…！これからもちょこちょこ更新しますのでどうぞよろしくお願い致します！ (2022年7月15日 12時) (レス) id: d84ec32568 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡 | 作成日時：2022年6月30日 2時
