福富さんと自転車競技部３【弱虫ペダル】 (ページ2)

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黒田雪成 side

一体何個焼くんだよ…。
寮のおばちゃんにもらった小さいりんごに飴を絡め作ったりんご飴を作り終えるも、大量にあるホットケーキミックスはまだたこ焼きになり続けている。

「黒田ァ、なんだよこのあめぇ匂い。」

「荒北さん！
Aから福富さんがりんご飴が好きだって聞いて作ってたんすよ。
福富さん、どうぞ」

「…いい香りだ。有りがたく頂こう。」

いつも固い表情だけど、今少しだけ緩んだ、か？
箱根学園に入学して、寮も一緒だけど当時からずっと表情が変わらない。

少しして福富さんの妹、あちらも表情の少ないAが浴衣の裾を持ったまま食堂に入ってくる。

「A！今日は浴衣を着ているのだからそのような振る舞いはよさないか！」

『…うん。』

「何かあったのか？」

『何にもないよ、。
あ！ユキちゃん、りんご飴出来た？』

浴衣の裾をパンパンと叩き、こちらに小走りで駆けてくる。
浴衣効果もあって涼しげな美人に拍車が掛かる。
…って暑さで逆上せてんのかよ、俺。

「…もしかして怒ってるか」

りんご飴を手渡せば俺のとなりに座って、なめ始めていた。
福富さんに比べれば、比べれば表情が少し変わる。
そんなAが分かりやすく怒ってる…

『あ、飴おいしい。』

「なら良かったよ。
…祭り行けなくて残念だったな。」

『ねー。
花火は見たかったけど、今こうやって皆でお祭りごっこしてるの楽しいよ。』

「そーかよ。
Aが喜んでんなら俺も満足だ。」

カシャ

聞こえた音は遥か上。
葦木場が携帯をこちらに向けていやがる。

「俺もAちゃんが喜んでくれてるなら嬉しいよ～
写真撮るからユキちゃんもこっち向いて～」

「なっ、撮ってんじゃねぇよ！」

『ユキちゃん、ユキちゃん。
撮ってもらおう。葦木場さんもまた撮ろ。
荒北さーん写真撮って』

葦木場が来たことで今度は嬉しそうな顔して写真撮影をしている。
何となくだが、葦木場に感化されているような気がするな。
4ヶ月ですっかり仲良くなった。

東堂さんも来て、結局皆で撮ろうってなりあとから来た銅橋や新開さんも手招きし寮にいるチャリ部全員での撮影になっていた。

隣にいるAを横目で見れば、あちらも横目で何かみているのか
追ってみれば口にも手にも食べ物持つ新開さんと目があった。

「福富さん、マネージャーいますか？
監督が来てます。」