21話 ページ23
「おい、誰だあいつ?太刀川隊の出水がやられてたぞ!」
「あれだろ?あの…SEが発覚した弓儷だろ、弓儷紳犂」
「あぁ、あの。そんな強かったんだ。」
聞こえてるよ。聞こえてる。全部ぜーんぶ。
公開されてたのか。
もうそれについてとやかく言う気はないけど。
そりゃ…ね。メンバーがメンバーだったしね。
バレたらそりゃ噂になるかぁ。
出たくない。やだなぁ。
苛々する。
ムカつく。
「それじゃあ、またいつか。行きましょうカゲさん。」
「え、おいもう行くのかよ!」
「弓儷先輩待ってよー」
あぁ痒い痒い。痛い。
黙れよ黙れよみんな。煩いんだって。
「カゲさん早く!!!!」
少し大きな声が出てしまった。
驚いたのか3人は一瞬固まった。
察してくれたのかカゲさんはすぐに来てくれた。
廊下を競歩かのように早く歩きながら影浦隊の隊室へと向かう。
気遣うかのようなカゲさんの目線と少しだけ乱れた脈、そして何よりも痒い自分の心臓の音は無視をした。
隊室を開けてもらってすぐに入る。
「…さっさと飯食いに行くか。」
カゲさんの不器用な優しさ。
「紳犂、ユズルから噂になってるって連絡あったけど大丈夫か?こたつ入るか?」
「みかんもあるよー」
影浦隊のみんなの音を感じる。
いつもとなんの変わりもない。
吸って…吐いて。
あぁ、大丈夫だ。
笑える。
大丈夫。
苛々は収まってきた。
「だいじょーぶだいじょーぶ。ありがとさん。ちょーっとカゲさんじゃないけど痒くて苛々しただけだからさ。」
「おい」
自分の感情を表に出し過ぎるのは未熟者のすることだとかなんとか、ある漫画で誰かが言ってたなー。
「ほんと!良かったー。ゾエさん心配しちゃったよー」
「紳犂も何かあればあたしを頼りな!」
優しさが沁みる。
でもそんなの表に出さないように。
憎まれ口を叩く。
「でたー、ほんとにヒカリは姉御肌だね。私カフェモカが飲みたいなぁー。慰めるためにでも買ってきてよ。カゲさんの奢りでさ?」
「あぁ?誰が奢るかよ。」
「急いで戻ってきたけどそんだけ憎まれ口叩けるなら大丈夫だね。心配して損した。」
うんうんそう。私はもう大丈夫。
投げられた缶を受け取りながら思う。要望したカフェモカ。
ボーダーの自販機充実してるからなー。
「早く食べに行こ。って、ユズル!これカフェモカ!買ってからきてくれたの!え、流石に後輩からたかる気はない!え!お金受け取って!」
ユズル、将来いい彼氏になりそう。
ーーー
カフェモカは作者が好きです。
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作者名:那佳 | 作成日時:2019年5月7日 7時