４０.震える快感と、乾杯の音頭 ページ40
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「君は他の奴等よりも頭が回る筈や。その場その時どう動き、どう言葉を投げかければ相手はどう言う反応を返すのか‥‥そんな風に考える事の出来る人間。
だからこそ今回君が善人の面を装って、あの酷く騙され易い五月女ちゃんに近付く役割を請け負った______なんやったら、どうして俺の気持ちも汲み取って最善の態度を示してくれないん？
ただ歯を食い縛って、我慢比べでもしてるつもりなんか？そうなんやったら、がっかりや。失望したわ、山下君。」
これはな、最初から我慢比べで決着が着くようなお優しいゲームやないんやで
機関銃の様に抑揚にない声でつらつらと言葉を並べ立て、容赦なく山下に浴びせる。両頬を力強く掴まれ、顔を逸らす事も出来なければ、思わず持ち上げてしまった瞼の所為で、彼の表情を凝視する事しか出来なかった。まるで恋人同士が睦言を交わすかの如き距離で、お互いの息と息がぶつかり合う距離で。男は、憎悪の念の入り混じった瞳で山下を覗き込む。
山下は痛みに喘ぎながら、自身の太腿と下腹部、更には肩にまで感じる濡れた暖かい感触と断続的に繰り返される激痛に並みに意識が朦朧としそうだった。しかし意識を飛ばすことは許されない。そんな剣幕が、目の前の男から感じられたのである。
「ッ、っひ、ぐ、あ"‥‥ッ、」
ぐり、といつの間にか取り出したのだろうか。小型のナイフが先程裂かれた傷口へと抉りこまれる。幾ら成人男性と言えど、涙をぼろぼろと零しながら喘ぐ姿は、非常に滑稽だった。それは男も同じだったのだろう。先程の無表情から、幾分かは柔らかくなった雰囲気で「痛い？そりゃそうやろうなあ、」少しだけ口元を綻ばせてみせた。
「でも山下君がいけないんやで。所詮は利害関係のみで繋がっている自身の組織の情報を、一体何のプライドの為に吐こうとしないのか理解できないけどな、やっぱり痛いのは嫌やんなぁ？」
「山下君、俺もこんなことしたくないんよ。見ての通り、俺は実戦向きと言うよりかはこうやって交渉の方を主として働いてる。
だから、早く教えてや。」
痛みと苦しみを与えておきながら、傷口を癒す様に安楽な道を示す。男の言う通りだった。利害のみの関係に、何故こうも自分は頑なになっているのだろうか、抑も例え此処から解放されたとて、組織に戻った山下を待つのは処罰という名の死。一度しくじったものを赦すほど、生温い所ではないのだ。
――この男は、何処かおかしい。頭がおかしいのだ。
底知れない気味の悪さを目の前の男に感じながら、山下は霞む視界と朦朧とする意識の中、静かに口を開いた。
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雪原(プロフ) - ふぃおさん» 申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。修正しました！ (2017年12月22日 22時) (
レス) id: b79552e05e (このIDを非表示/違反報告)
ふぃお(プロフ) - 26話辺りから名前変換出来ていませんよ〜 (2017年12月22日 22時) (レス) id: 86fe828a4e (このIDを非表示/違反報告)
リオ - 設定から書き方までツボ過ぎてやばいっすわｗ続きがくっそきになるので更新頑張ってください!! (2017年9月18日 20時) (レス) id: 0dc7e3ba93 (このIDを非表示/違反報告)
雪原(プロフ) - すりぴいさん» コメントありがとうございます。稚拙な文章ですが、そう言って頂けて大変嬉しいです！不定期になるかとは思いますが、精一杯頑張ります…！ (2017年9月18日 20時) (レス) id: 4141bf49c5 (このIDを非表示/違反報告)
すりぴい - ﾝﾝﾝﾝｯ！！好きです。更新頑張って下さい! (2017年9月18日 19時) (レス) id: 796ae87385 (このIDを非表示/違反報告)
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