２９.無限大と捉えるか、それは無であるのか ページ29
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彼の言葉にぴくりとも表情筋を動かさなかった自分を褒めてもらいたい。
とは言っても彼の核心突いた言葉は確実に都の触れられたくない部分を抉り抜いたのである。事件に巻き込まれた――つまるところ、都のあまり世間的には褒められたものではない前職が露呈してしまう事は回避したい自体であった。オーナーは勿論知っている。知った上で自分を招き入れてくれた。しかし目の前の彼はどうだろうか？
基本的に穏やかな彼だが、必ずしも都の経歴を知って受け入れてくれるとは限らないのだ。何より都にとって、唯一のまともな“友人”と呼べる人間を失いたくないのが、――本心であった。
こんな憂鬱そうな女を、わざわざ店にまで駆けつけてくるほど心配してくれる、そんな優しい彼を。
『‥‥なにもないよ、ただの寝不足で倒れちゃっただけみたい。』
「ほら昨日はかなり陽射しが強かったからさ、ほんと溶けるかと思ったよ」咄嗟に出てきた嘘は、案外馬鹿げたもので。それでも都のこの冗談めいた言い回しは普段からのもので、それに慣れたロボロは素直に信じてくれたようだった。
なら良かったわ、心底安堵したように彼は笑う。その光景は少し胸が締め付けられるような心地だった。
「ほんまに体調管理は気をつけてな？都ちゃんが倒れたら俺一人でオーナーの手伝いせなあかんやん。」
『だあいじょうぶ、ロボロくんは私の４倍くらい良い働きするからへーきへーき』
「ちょっとは向上心とかないん！？」
あるある、けど気持ちと結果が反比例していってしまうだけなんすよ。
一変、呆れたようにため息を吐くロボロはもういつも通りだ。様子の変わらない都を見てほっとしたのか、ちらりとスマホのロック画面を表示して時刻を確認した。マゼンタ色のシンプルなカバーだ。瞳の色とお揃いのそれは成る程、彼らしかった。
『あ、ロボロくん、それ私と機種一緒だ。』
「お、ほんまに？
割とマイナーな機種やけど、仕事に使うには性能は良いから_______」
――お揃いやね、
いつもとは違って。少しだけ小さな声で、まるで仲の良い幼子同士がわくわくするような秘密を共有するみたいな___何処と無く嬉しさの滲み出た甘い声色で彼は言った。そのままスマホを額の前に掲げて少し揺らす。にこりとそれとお揃いの目を細めて彼が笑えば、何だか心がむず痒くて、変な感じだった。
「じゃあ都ちゃんの無事も確認できたし、俺はそろそろ帰るね。お店出れなくてごめん、」
そんな些細な事で、やや申し訳なさそうに頭を下げる彼を責める理由なんて何処にも有る筈がないのだ。
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雪原(プロフ) - ふぃおさん» 申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。修正しました！ (2017年12月22日 22時) (
レス) id: b79552e05e (このIDを非表示/違反報告)
ふぃお(プロフ) - 26話辺りから名前変換出来ていませんよ〜 (2017年12月22日 22時) (レス) id: 86fe828a4e (このIDを非表示/違反報告)
リオ - 設定から書き方までツボ過ぎてやばいっすわｗ続きがくっそきになるので更新頑張ってください!! (2017年9月18日 20時) (レス) id: 0dc7e3ba93 (このIDを非表示/違反報告)
雪原(プロフ) - すりぴいさん» コメントありがとうございます。稚拙な文章ですが、そう言って頂けて大変嬉しいです！不定期になるかとは思いますが、精一杯頑張ります…！ (2017年9月18日 20時) (レス) id: 4141bf49c5 (このIDを非表示/違反報告)
すりぴい - ﾝﾝﾝﾝｯ！！好きです。更新頑張って下さい! (2017年9月18日 19時) (レス) id: 796ae87385 (このIDを非表示/違反報告)
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