３.いつだって人を幸せにするのは、平穏である ページ3
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『ロボロ君はもう帰り？
オーナーの作ったキッシュ食べていかないの？』
「おん、これから一仕事あんねん。」
『うわぁ…お疲れ様です。』
付け合わせに、と用意されたシーザーサラダの上にのるクルトンをちまちま食べる。サウザンドレッシングをたっぷりと吸い込んだクルトンは、多少ふやけてはいるもののまだ芯の残るカリッとした食感で大好きなのだ。
ロボロは橙色のエプロンを後ろ手に解くと、何故か椅子を引いて都の正面に座った。
テーブルの上に頬杖をついて此方を眺めるロボロの視線に、むず痒さを感じてフォークに突き刺さったレタスを飲み込むと「どうしましたロボロさん」と尋ねてみた。
「いや……そういえば、都ちゃん就職活動どうかなぁって。
昨日も面接してきたんやろ？」
『え！？あ、あぁ…うん、そうそうそう、面接してきたよしてきた、うん。』
「なんでそんな動揺してるんや」
思いもよらない質問に、またもや喉を詰まらせそうになった。しかし今食べているのは、小粒のクルトン。喉に詰まることはない。
『まぁ…今回もまた同じかな。
この歳になって大学中退の、まぁ言わば高卒の女性を雇う暇があったらもっと経歴マシな人材を採用するでしょうよ。
珍しく書類選考通ったから、いけるかなとは思ったんだけどね。』
トマトの酸味が口いっぱいに広がる。
過去の自分は何て馬鹿だったのだろう。高校卒業し、国公立の大学に合格するまでは良かった――そう、全て順調に上手くいっていた筈だった。
『――自分の本質を誤魔化す事は出来ても、抗う事はできない、かぁ…』
「ん？なんて？」
『ああなんでもないよ、気にしないでロボロ君。』
昔の上司に言われた言葉である。
見事に核心を突いた言葉だったので、反論できずに悔しかった思い出が今となっては懐かしくすら感じてしまう。
ロボロは、少しの間そんな都を見つめていたが、彼のポケットから震えるスマホの振動を感じ取るとすぐにそちらに視線を移し、慣れた手つきでスマホを操作し始めた。圧倒的な指さばきである。仕事柄なのだろうか。
「よし。じゃあ仕事なんでそろそろ帰るわ。お疲れ様でした都ちゃん。」
『お疲れ様でした、ロボロ君。』
席から立ち上がり、店内に飾られてある観葉植物をひと撫でしたのちに思い出したように声をあげた。
「あ、そうそう。」
くれぐれも外出には気をつけてな。
そう忠告したロボロの瞳は、いやに真剣だった。
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雪原(プロフ) - ふぃおさん» 申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。修正しました！ (2017年12月22日 22時) (
レス) id: b79552e05e (このIDを非表示/違反報告)
ふぃお(プロフ) - 26話辺りから名前変換出来ていませんよ〜 (2017年12月22日 22時) (レス) id: 86fe828a4e (このIDを非表示/違反報告)
リオ - 設定から書き方までツボ過ぎてやばいっすわｗ続きがくっそきになるので更新頑張ってください!! (2017年9月18日 20時) (レス) id: 0dc7e3ba93 (このIDを非表示/違反報告)
雪原(プロフ) - すりぴいさん» コメントありがとうございます。稚拙な文章ですが、そう言って頂けて大変嬉しいです！不定期になるかとは思いますが、精一杯頑張ります…！ (2017年9月18日 20時) (レス) id: 4141bf49c5 (このIDを非表示/違反報告)
すりぴい - ﾝﾝﾝﾝｯ！！好きです。更新頑張って下さい! (2017年9月18日 19時) (レス) id: 796ae87385 (このIDを非表示/違反報告)
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