17.いつだって人を幸せにするのは、平穏である ページ17
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『そろそろ良いかな、コネシマ。』
彼の笑い声は大きいし高いし___それどころか、強烈に脳内に焼き付けるような独特さを含んでいるのでたちが悪い。今回はかなり彼のツボに入ったようで、都が一生懸命平常を保っていた頰が引きつり始める。
いつまで私は彼の銃を警戒し、そしてこんな最悪な
楽しそうに喉を震わせ笑うコネシマは、都の苛立ちを抑えた声を聞いて、ようやくその笑いを納めてくれたらしい。「っすまんすまん」全く反省の色が見えない。
「何がおもろいって、働いてるのに三万ちょいすら貯金がない都の金遣いの荒さやな。
働いている事に意味を見出して、本来の目的である金を貯める事に全く意識が向いてへんやんけ。」
『女の子には色々必要なんですよ』
「例えば?」
『スマホの通信料でほとんど持ってかれてる』
「クズやな!」
都の場合は、あくまでアルバイトである。
故に、一般的な平均給与には及ばない額の賃金で生活をしている。それでも、家賃タダの部屋を用意してもらえるだけでだいぶ違うのだが、都は情報機器の使用頻度がとてつもなく多い。やれ服だ、やれ菓子だ、なんてものには興味がない。あるのは、あくなき情報への探究心。それだけである。
数年経っても変わらない都の様子に、コネシマは少しだけ懐かしげに目を細めた。
立場は変われど、都のローテンションは相変わらずであるし、コネシマの煽りもあの時とは何も変わっていなくて。
右手に感じる銃の無機質な重みだけが、自分の役目をしっかりと果たせと自身に訴えかけているようだった。
「………まぁでも、」
そのまま視線を銃へと移し、静かに口を開く。
「――お偉いさん方は、都を邪魔だと認識して消そうと考えてる。俺も組織全体の事を考えれば、それが最もメリットが多いと思ってるから賛成や。
……だからな、都。今日は見逃しといたるけど、次出会う時は殺すで。
他の奴等にはやらせない、俺の手で、お前を殺したるわ。」
――なんたって俺とお前は一蓮托生のパートナーだったんやからな。
真っ直ぐな蒼の鉱石の如く揺らがない意思の瞳に、気圧された。言葉の一つ一つの重みで、押し潰されてしまいそうだった。
「一蓮托生」、「パートナー」いつもだったら絶対言わない言葉なのに、彼は意図してそれを使った。言葉は人を支配する道具の一つでもある。過去形だけが、唯一の救いだった。
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雪原(プロフ) - ふぃおさん» 申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。修正しました! (2017年12月22日 22時) (レス) id: b79552e05e (このIDを非表示/違反報告)
ふぃお(プロフ) - 26話辺りから名前変換出来ていませんよ〜 (2017年12月22日 22時) (レス) id: 86fe828a4e (このIDを非表示/違反報告)
リオ - 設定から書き方までツボ過ぎてやばいっすわw続きがくっそきになるので更新頑張ってください!! (2017年9月18日 20時) (レス) id: 0dc7e3ba93 (このIDを非表示/違反報告)
雪原(プロフ) - すりぴいさん» コメントありがとうございます。稚拙な文章ですが、そう言って頂けて大変嬉しいです!不定期になるかとは思いますが、精一杯頑張ります…! (2017年9月18日 20時) (レス) id: 4141bf49c5 (このIDを非表示/違反報告)
すりぴい - ンンンンッ!!好きです。更新頑張って下さい! (2017年9月18日 19時) (レス) id: 796ae87385 (このIDを非表示/違反報告)
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