Fairy Tale 【avntis】 (ページ5)

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ep5/そらちぃside ページ5

あれ……？

あの子は……

確かあの時の。

初日に話しかけたきり全く話さなかった後ろの席のAちゃんだ。

最近、えいちゃんは昼休み俺とサッカーをせずに

名前)ちゃんと話しているのだ。

完全に日課になっていたサッカーをえいちゃん抜きでやることに違和感を覚えただけでなく、

あのえいちゃんが女子と楽しそうに話している姿に心底驚いた。

えいちゃんはパッと見素っ気なくて、

きっと他の皆からは、Aちゃんがえいちゃんに嫌がられながらもしつこく話しかけてる様に見えているのだろう。

だけど、本当はとっても楽しいんだろうと俺なら分かる。

えいちゃんは幼い頃からそうだったから

不意に見せる豊麗線が何よりの証拠だ。

普段、女子から告白されて「ごめん」と返すのが当たり前だから尚更だ。

それにしても、どうしてあの子なんだろう？

えいちゃんも多分気付いてただろうけど、初日から俺らの輪の中に入ってこようとしなかった彼女は、

俺とは無縁だと無意識に感じ取っていた自分がいた。

経験上、っていうのもあるかもしれないけど、

心のどこかで、きっとそうだと決めつけていたのかもしれない。

だから席が近くなっても、最初に初めましての挨拶をして以来一言も話していない。

向こうから話しかけてくる事も無かったから、気に留める事さえして来なかった。

そんな風に思っていた彼女だったが、

俺はだんだんAちゃんと話すようになった。

えいちゃんは俺の日常の大半を占めているから、Aちゃんとの関わりも増えてくる訳で。

「えいちゃんと仲良くなるような奴」だからきっと大丈夫だと感じていたからか、仲良くなるのに時間はかからなかった。

仲を深めていく中で、初めに持っていたあの子への感情は偏見だと気が付いた。

明るい性格でとても優しくて繊細な生粋の女の子だった。その上冗談も軽く交えて話すから楽しくて。

何故周りに人が集まって来ないのか謎に思っていたけど、

特別仲の良い人たちが彼女を守っているんだろうなあってふんわりと理解できた気がする。