にっかり青江と ページ9
Aside
青江「今の君は、千人斬らしくないね」
縁側でのんびり過ごしていたら開口一番、喧嘩を売られた。
売られた喧嘩は買わないと、ね。
A「ならどうしたって言うの？」
青江「以前の君の方がよほど千人斬らしかったよ」
A「私の逸話は千人斬だけじゃないって気づけたからね」
青江「気づいてそれで何が変わったんだい？」
A「心持ちというか考え方というか・・・。自分自身が変わった、かな」
青江「変わってどうする。君自身が変わっても周りの認識は変わらないかもしれない」
A「・・・そうかもしれないね。けど、それでもいい。今の主や弟たちが信じていてくれるから」
青江「はぁー。完敗だよ」
A「自分は勝てない勝負はしないからね。要するに負けず嫌い、なんだよね。で、青江は何に怯えているの？」
青江「全てお見通しか・・・」
A「いつの時代も、年の功には敵わないんだよねー」
鶴丸や三日月に勝てないみたいに・・・。
青江「一つ、聞いてもらっても良いかな？」
A「どうぞ。お菓子でもつまみながら」
青江「ありがとう」
青江「僕は幽霊を斬った。にっかりと笑うね。幽霊を斬って御神刀になった刀もいる。僕も幽霊を斬った筈なのに、どうして御神刀になれないんだろうって」
なんだそんなことか。
A「私からしたら貴方は御神刀だよ」
青江「お世辞なんていらないんだけどな」
A「お世辞じゃなくて本当に思っていること。じゃあもしもの想像をしてみよう」
青江「もしも？」
A「そう。例えばその幽霊が青江が斬る前に人に害を与える悪霊になったら？青江が斬らずに、そのままこの世に留まり、悪霊と化したら？そう考えると貴方は立派な御神刀だよ」
青江「ふっ。あははは。そうか、そうだね。そうかもしれない」
A「悩みは晴れた？」
青江「ああ。ありがとう、A」
A「どういたしまして」
A「もう出てきていいよ。数珠丸」
数珠丸「おや、気づかれていましたか」
A「ふふっ。青江の悩み、貴方が聞いてあげても良かったんじゃないの？」
数珠丸「私には話しにくいでしょう、幽霊の話は特に」
A「そうかな？まぁ、彼の悩みが晴れたのなら、それはそれで大丈夫でしょう？」
数珠丸「そうですね」
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年2月19日 17時
