若紫本丸の物語 ページ22
若紫本丸の蜂須賀side
主「よろしくね。蜂須賀」
それが、この本丸の始まりだった。
主は一人で子供を育てているらしく、本丸にはいつも、主の子供がいた。
まだ赤子で、俺と小夜がよく面倒を見ていた。
六年後
主の子供は六歳。
まだまだ子供で、いつも忙しなく動いていた。
少年「ねぇねぇ、あそぼう！小夜、はち！」
蜂須賀「何をして遊ぶのかな？」
少年「かくれんぼ！鬼はー、小夜！」
小夜「ぼ、僕？」
少年「ん！１０数えたら探しに来てね！」
そう言って少年は駆けていく。
小夜「僕なんかで、いいのかな？」
蜂須賀「いいと思うよ」
小夜「・・・早く隠れにいってください。蜂須賀さん」
蜂須賀「ははっ。わかったよ」
主「あら？蜂須賀、何をしているの？」
蜂須賀「少年に付き合ってかくれんぼ中でね」
主「いつもあの子と遊んでくれてありがとう。お陰で寂しいとは一言も言わないわ」
蜂須賀「それは良かった」
九年後
主「うーん」
小夜「どうしたの？」
主「息子がね、今日高校の合格発表で出掛けていったんだけど、中々帰ってこなくて」
小夜「お友だちと話してるんじゃない？」
主「でも、あまりにも帰りが遅くて心配で・・・。誰かについていって貰えばよかったわ」
蜂須賀「ついて行こうか、と行ったんだけど断られてしまったよ」
主「あらぁー。反抗期かしら？」
蜂須賀「だとしたら少し寂しいな」
小夜「僕も」
電話がかかってくる。
主「もしもし。若紫本丸の審神者です。・・・え？」
受話器を落とす主。
そのまま主も座り込んでしまう。
小夜が代わりに電話に出る。
小夜「蜂須賀さん、・・・あの子が、事故に遭って亡くなったって」
主「そんな、何であの子が。どうして？」
あの子は、居眠り運転の車から子供を庇ったそうだ。
蜂須賀「子供を助けて死ぬなんて、君らしい」
主「子供は無事だったそうよ」
小夜「・・・恨めしくないの？」
主「そうね。でも、あの子が命を賭けて守った命よ。あまり恨めしいとは思わない」
蜂須賀「あの子、高校、合格していたそうだよ」
主「それは良かった。勉強、頑張っていたものね」
蜂須賀「主？」
主「ああ。ごめんなさい。あの子の遺品を整理していたの。よかったらてつ」
カタッと写真立てが落ちた。
蜂須賀「少年、どうか、主を守ってくれ」
若紫本丸第一部隊
隊長:蜂須賀虎徹
隊員:小夜左文字
:浦島虎徹
:宗三左文字
:長曽祢虎徹
:江雪左文字
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年2月19日 17時
