綾華本丸の物語 ページ20
綾華本丸の歌仙side
主「やった・・・。私にもできた！」
初めに聞いた声は幼かった。
こんのすけ曰く、霊力が多く、特例で審神者になったらしい。
歌仙「よろしく。主」
かがんで目線を合わせる。
すると彼女は嬉しそうに笑った。
三年がたったある日。
すすり泣く主の声が聞こえた。
歌仙「主、大丈夫かい？入るよ」
主「か、かせっ。お父さん、と、おかあっさんが、事故で、なく、なったって」
途切れ途切れになる言葉。
主「私っ、一人に、なっちゃう。私、どう、したら、いいのぉ」
その時、彼女が壊れそうな感じがした。
大袈裟ではなく、本当に。
歌仙「君は一人じゃない。僕たちがいる」
主「うわぁぁぁ」
声をあげて泣く主。
その声をきいた刀たちが次々集まって、どうにか主を励まそうと話しかけていた。
それから半年間、主は中々部屋から出て来なかった。
乱「大丈夫かな？主さん、ご飯もあまり食べてないみたい」
歌仙「一度、強引に部屋から引きずり出す必要があるね」
乱「やっぱり？ボクたちだからわかることってあるよね。引きずり出すのは任せたよ、初期刀さん」
歌仙「では、部屋の外での待機は任せたよ。初鍛刀くん」
歌仙「主、入るよ」
主「・・・いいよ」
部屋は以外と綺麗に片付いていた。
主「どうしたの？」
主を昔みたいに抱っこする。
主「や、止めてよ！歌仙！もう子供じゃないんだよ！」
歌仙「十三はまだまだ子供だ」
襖を開いて外に出る。
乱「主さん、ボクからの贈り物だよ！」
桜の花びらが舞う。
乱「えっへへー！鶴丸さんと集めたんだー」
歌仙「わかったかい？君は一人じゃない。僕たちがいる」
乱「ボク、主さんがいないと寂しいよ。みんなも一緒。同じ気持ち」
主「みんな・・・」
主の目から涙が溢れて落ちる。
主「行ってきまーす」
歌仙「行ってらっしゃい」
乱「主さん、明日さ、一緒に買い物行こう！加州さんも誘ってさ！」
主「いいよー。新作のコスメ買いたいし」
歌仙「買い物もほどほどにね」
主、乱「「はーい、お母さん」」
歌仙「誰がお母さんだ！」
主「私からしたら歌仙はおかあ」
ドサッと床に落ちた主の荷物。
乱「え、主さん？」
突然、主が消えた。
乱「ボク、主さんを拐かした奴、許せない」
歌仙「ああ。僕も同じだ」
和泉守「そう思わねぇやつなんていねぇだろ」
歌仙「ああ。みんなで主に『おかえり』を言おう」
綾華本丸第一部隊
隊長:歌仙兼定
隊員:乱藤四郎
:不動行光
:堀川国広
:和泉守兼定
:人間無骨
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年2月19日 17時
