第40話 12人のヴァンパイアからの挑戦状 9 ページ50
「ンッ…やはり、Aの血は極上だな。」
「そう言っていただけて…ッ……嬉しいですわ。」
カールハインツの髪を梳かしながら、少し霞む視界と段々薄らいで行く意識に酔う。
Aは、ソファーの肘掛けに頭を預けて小さく息を吸う。
室内には、Aの血液が放つ甘い香りが充満していた。
カールハインツは、他のヴァンパイアが吸った痕跡を消すかのように様々な箇所を噛んで行く。丁寧に痛みのないように…。
「ハァ…しかし、随分荒々しく吸ったようだな。この様な跡になるとは…。」
「それは、仕方のないことです。カールハインツ様。あの子たちもきっと、我慢が募っていたのでしょうから。」
「Aは、それでいいのかい？」
「それは…」
Aは、カールハインツの髪を梳く手を止めて、俯向く。カールハインツは、そんな彼女を見つめて吸血を止めた。
「怒っているわけじゃないよ。ただ、もしも君が彼等からの吸血に抵抗があるならば…私と共に2人で暮らしても良いと、そう思うのだ。」
「そ、それはいけませんわ‼」
「なぜ？」
「確かに、カールハインツ様と共に暮らせる事はとても魅力的ですが…私は……」
Aは言葉を詰まらせる。
苦しそうな表情を浮かべ、胸を押さえる。
カールハインツの脳裏に、古い記憶がフラッシュバックする。
『私は、彼等のお母様代わりになれたら良いのですが…。』
『なぜだい？』
『彼等は、あまりに冷たい無慈悲な世界しか見ていない様に思えるからです。あの様な幼い子には、もっと優しく接するべきですわ…』
誰よりも息子達を大切に思ってきたのは、実の親であるカールハインツでも婦人方でもない、Aだった。
カールハインツは、フッと笑ってAの頬に口付ける。Aもまた、カールハインツの頬にそっと口づけた。
2人の影は闇夜に混ざり合って溶けていった。
この小説の続きへ→←第39話 12人のヴァンパイアからの挑戦状 8
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼しますね！私逆ハー大好物なので嬉しいです！ディアラバのキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月16日 11時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
アイリーン - 月浪兄弟のカルラの一人称は【私】でシンは【オレ】です (2018年8月9日 16時) (レス) id: 1474bc4c9d (このIDを非表示/違反報告)
らぶりー - 私はクリスチャンではないのですが気になる部分があったので書き込みます。お祈りの「私も人を許します」の部分なのですが、まず許すではなく赦すです。そして神は人が人を赦すことを良しとしていません。そして皆ではなく御名です。 (2016年12月21日 19時) (レス) id: 5fe65dcde7 (このIDを非表示/違反報告)
柚流葉(プロフ) - 続編出来ました！これからもよろしくお願いします(^o^) (2016年1月12日 18時) (レス) id: 0b1b6bc3c3 (このIDを非表示/違反報告)
柚流葉(プロフ) - 瀬羅様 ありがとうございます！ (2016年1月12日 18時) (レス) id: 0b1b6bc3c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚流葉 | 作成日時：2015年3月10日 23時
