第10話 白薔薇と黒百合 4 ページ11
「ここだ。」
カールハインツとAが向かった先は、クリスタがいる塔である。
塔へ行く途中に、白薔薇が咲き誇る道を通った。まるで、絵本に出てくる塔に囚われたお姫様のようだとAは感じた。
「ここから先は、Aだけで行ったほうがいい。」
「……分かりました。」
Aは、何故カールハインツが行けないのか疑問に思ったが詳しくは聞かずに塔を登った。
＊＊＊＊＊＊
「そこにいるのだろう。」
カールハインツはAが見えなくなると、後ろを振り返る事なくそう言った。
すると、背後から幼い少年が銀のナイフを片手にカールハインツを睨んでいた。
彼こそ、クリスタとカールハインツの間の一人息子のスバルである。
「……何の用だよ。」
赤い目をギラつかせてカールハインツを見つめるスバル。
カールハインツは、スバルを見ることなく告げる。
「もしかすると、クリスタの病は良くなるかもしれないな。」
スバルは、目を見開き銀のナイフを落とす。
「どうして……？」
「先ほどの女は誰だと思うか。」
「知らない。誰だよ！」
スバルはカールハインツに食いかかるが、カールハインツ本人は涼しい表情で語る。
「A。天界に住まう天使の女だ。」
「A…？天使…？」
すると、カールハインツはサッと姿を消した。
スバルはただ、塔を見上げてAが一体どんな者なのか想いふけった。
＊＊＊＊＊＊
Aはクリスタがいる塔の天辺に達した。
「今日は。」
重々しい扉を叩き、挨拶をするが返答はない。
「はじめまして。私、Aと申します。」
Aは、全く応答がない中懸命に話しかける。
「貴方様の名前は、クリスタ様で間違いありませんか？」
すると、扉の向こうから弱々しい声が聞こえてきた。
「はい……」
Aはクリスタが返答してくれた事に喜びながら話し続ける。
「窓からは、何が見えますか？私は、先ほど白薔薇が咲き誇る道を通って参りました。」
すると、クリスタは相手のAが女で声からして自分より年下だと悟り安心したのか心を開き始めた。
「窓からは…白薔薇が咲く道が……」
Aは、扉に触れながらニッコリ笑う。
「薔薇は美しいですね。」
クリスタも、扉に触れながら微かに微笑む。
「えぇ……」
扉を挟んで、天界の黒百合と魔界の白薔薇が心を許し合ったのだった。
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼しますね！私逆ハー大好物なので嬉しいです！ディアラバのキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月16日 11時) (
レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
アイリーン - 月浪兄弟のカルラの一人称は【私】でシンは【オレ】です (2018年8月9日 16時) (レス) id: 1474bc4c9d (このIDを非表示/違反報告)
らぶりー - 私はクリスチャンではないのですが気になる部分があったので書き込みます。お祈りの「私も人を許します」の部分なのですが、まず許すではなく赦すです。そして神は人が人を赦すことを良しとしていません。そして皆ではなく御名です。 (2016年12月21日 19時) (レス) id: 5fe65dcde7 (このIDを非表示/違反報告)
柚流葉(プロフ) - 続編出来ました！これからもよろしくお願いします(^o^) (2016年1月12日 18時) (レス) id: 0b1b6bc3c3 (このIDを非表示/違反報告)
柚流葉(プロフ) - 瀬羅様 ありがとうございます！ (2016年1月12日 18時) (レス) id: 0b1b6bc3c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚流葉 | 作成日時：2015年3月10日 23時
