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肩に置かれていた手がそっと離されて。

それを追うように振り返れば、私に声をかけてきた人物の正体がわかった。



私の通う高校で、その存在を知らない人はいないほどの有名人。

最近ではオオサカディビジョン代表チームの一員になったこともあり、その名は街中に轟いている。






MC NAME "WISDOM"。躑躅森盧笙。

学校では特に「盧笙先生」の愛称で親しまれているその人。

彼は、私の担任の先生だ。





「……え、?」



どうして躑躅森先生がここに。

呆然とする私を他所に、彼は困り顔で口を開く。



「ったく。未成年がなんちゅーことしとんねん」



そう言ってしゃがみこんだ躑躅森先生が、地面に転がった空き缶を片手でひょいと拾い上げて。

ひとつ苦笑いを零した先生はそのまま、空き缶を片手でくしゃりと握りつぶした。




「自分が落とさんかったら行き場の失くしたコイツ、俺が代わりに飲み干したところやったんやけど」




「にしても、やっすい酒」と薄く笑った彼が、空き缶を近くのゴミ箱に投げ入れる。



それから先生は1歩2歩、近づいて、眼鏡の先からじっとこちらに視線を飛ばした。

何も言わずに私を見据える彼の表情は、いつも見てるものよりも幾分険しい。


閉口する私に、彼は静かな口調で言った。




「なあ自分。なんで酒なんか飲もうとしたん?」

「…っ、」

「勘違いせんで、責めるわけやない。理由を聞きたいだけや」

「…」

「まあここにいてもアレやし…どっかで座って話そう、ついてき」



躑躅森先生はそう言って、踵を返して歩き出す。




拳を握りしめ、黙ってその背中を見つめていたら。

彼は立ち止まって、私がついてくるのをいつまでも待っていて。


無言の視線の攻防に負けた私は、しぶしぶとその後ろに続いた。












そこから歩いて程なくして着いたのは、数時間前に本日の営業を終了した公民館前のベンチ。


夜九時。エセ制服に身を包んだ女子高生と、モデルみたいに綺麗なお顔と体躯を持った高校教師が、同じベンチに並んで座ってる。


どう考えたって生徒と教師の禁断密会にしか見えないこの状況で、人通りがまったくなかったことだけが唯一の救い。

こんなとこ、誰かに見られたらたまったもんじゃない。



先生は、私が話し始めるまで口を開かなかった。

嫌と言うほど続いた沈黙を、静かに打ち破る。



「躑躅森先生…すみません」

「…」

「きっかけはほんの少しの好奇心でした。そこに深い意味はありません」

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かぁ! - 42は僕も欲しいですね、、、 (2020年10月28日 21時) (レス) id: 6b47d62694 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - りぃ最高、、、42話を所望いたします(スライディング土下座)さん» コメントありがとうございます。倫理的にまずい話かと思い、しばらく更新をストップしていたのですが…そんなお言葉を頂いてしまった以上、よく考えなければなりませんね(^^; そう言っていただけて嬉しいです。前向きに検討させていただきます。 (2020年10月22日 13時) (レス) id: 48104f3cfe (このIDを非表示/違反報告)
りぃ最高、、、42話を所望いたします(スライディング土下座) - 42、、、欲しいです (2020年10月18日 8時) (レス) id: 6b47d62694 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - ハネムさん» ハネムちゃん本当にいつもありがとうございます。楽しんでいただけたら嬉しいです\( ´ `)/ (2020年7月1日 23時) (レス) id: 48104f3cfe (このIDを非表示/違反報告)
ハネム(プロフ) - えもい。えもさの極み。美月ちゃんの小説はどれも物語が読者の心の内にすっと忍び込んでくるようなしなやかさがある。今回の盧笙くんの小説もまさにそんな感じです。更新楽しみにしてます。 (2020年7月1日 14時) (レス) id: bb0dd7d6d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美月 | 作成日時:2020年6月27日 7時

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