41一郎side《困惑》 ページ42
今日俺は何度頭に爆弾を落とされなきゃならないのだろう。
無邪気に笑う三郎へ、静かに、兄貴としての威厳を持って問いかける。
「おい三郎。どういうことだ。説明しろ」
「隠していてごめんなさい。僕にはずっと好きな人がいたんです。それはこの子、茉由のことだ」
「……」
嘘をつけ。
お前に、あいつより好きな女の子なんているはずがない。
彼女は、彼女は、って。
お前が誰よりも大切にしてる友達の話を、いつも俺にしてくれたじゃねぇか。
昨日だってあんなに楽しそうにじゃれ合って、勉強を教えて、…あんな、幸せそうな目であいつを見つめて……
こんな女の話、今の今まで一度もしたことなかったじゃねぇか。
「茉由は僕の理想の女の子です。付き合いたいと思って告白したら、彼女もそう思ってくれていたみたいで」
お前が気持ちを伝えたい女は、こんな奴じゃねぇだろ。
なあ、分かるぜ兄弟。お前は、絶対に…
「茉由はとても頭が良くて、一緒にボードゲームをしたりもするんです。戦績は五分五分だから、僕としてもやりごたえがあって」
お前、ボードゲーム最近やってなかったろ。
どうしてかって聞いたら、
『うーん。僕にべったりの馬鹿がこの曲を聞け〜って五月蝿いので、しょうがないから最近はそっちに付き合ってあげてるんです」』
そう言って、ヘッドホンつけながら楽しそうにノッててよ。
「そうだろう？ 茉由」
話を振られた佐藤茉由は、慌てて首を縦に振る。
その反応に満足そうに目を細めた三郎は「ところで」と何の気なしに話を続けようとして。
「一兄。茉由はどうしてここへ？ 何か説明を受けてますか？」
「っ、…このテーブルの金見りゃわかるだろ。依頼だよ、依頼。何なら隣のそいつに聞いてみろ」
俺はバンっとテーブルを叩き訴えた。
三郎は、俺の言葉にキョトンとしていて。
「依頼？ 依頼って、何を――」
「この女は！ おめぇを、三郎を！ この金で買いに来たとか言ってやがるんだよ！」
たまらず俺が大声で叫ぶと、三郎は一瞬びくりと肩を震わせた。
が、すぐに平静をとりもどし佐藤茉由に向き直ると、彼女の頭を優しく撫で始める。
お前…さっきから何してるんだよ。
こいつがそうする意図を掴めないまま、俺はただぼんやりと見つめる。
そうすることしかできない自分が、非力で情けない。
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美月(プロフ) - れいさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！そう言っていただけるとすごく力になります。続編の更新頑張りますね。今後の展開も楽しみにしていてください！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 37bdf40b5c (このIDを非表示/違反報告)
れい - 素敵な話です。こういう話大好きです。言葉の表現の仕方も素敵で読む手が止まりませんでした。今まで一番好きな小説です。これからも応援してます！更新楽しみにしてますね！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: b42eb02cf2 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - ぱあたんさん» こんにちは。嬉しいお言葉をありがとうございます！(; ;)これからも楽しんでいただけるよう、更新頑張ります！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 37bdf40b5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱあたん(プロフ) - 気になったので読んでみましたがとっても面白くて読む手が止まりませんでした！これからも応援させて頂かきます！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 5f3f43ce15 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - ハネムさん» こんばんは！乱数くんの小説でもコメントくださりありがとうございました。タイトルの意味もキャプションもお話もかなりこだわっているので、そう言っていただけて嬉しいです！(; ;)更新頑張りますね！ (2020年4月24日 23時) (レス) id: 37bdf40b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美月 | 作成日時：2020年4月23日 20時
