15《噂のあの子》 ページ15
彼と出会って約一ヶ月半くらい経った頃。
それまでの仲睦まじさが嘘のように、教室内で必要時以外まったく会話を交わさなくなった私たち。
そんな二人が放課後に逢瀬を楽しんでいることなど、誰も知る由もなく。
皆の興味は私と山田くんの関係性から、隣のクラスの美少女、佐藤茉由ちゃんのことに移り変わり始めていた。
「茉由ちゃん、まじ可愛いよなぁ」
私の斜め前の席に３人集まった男子たちが、鼻の下伸ばして語り合っている。
佐藤茉由。
学年一の美少女と謳われる彼女の話題は、常日頃から絶えなかった。
佐藤茉由ちゃんねぇ。
あの、身体中の細胞がふわふわの綿菓子とか苺でできてるんじゃないかってくらい甘やかな雰囲気を纏った、綺麗な女の子。
顔が可愛いのは知っているし、異常なくらい男子にモテているのも周知の事実だ。
おまけに、制服以外で彼女の身につけられたアクセサリーたちが、目をひん剥くほど高額なものばかりだそうで。
丁寧な話しぶりや態度から見ても、恐らくお嬢様の生まれなんだろうと騒がれている。
一流の個人塾で勉強を見てもらっているせいか、非常に頭も良いとのこと。まあきっと山田くんには敵わないんだろうけど。
言ってしまえば、山田くんの女の子版、みたいな感じなのだろうか。多分山田くんほど、友達少ないわけじゃないだろうけど。
…って、全部山田くんと比べちゃう癖やめたい。
このままじゃ私、理想高くなるばかりだ。
「でも茉由ちゃん、片想いの男子がいるらしいぜ」
「えーっ！ それって俺のことか！？」
「馬鹿、お前だけはぜってーねぇだろ」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる男子たちを「暇だな〜」と、頬杖つきながら眺めていたら。
視界の隅でクラスの女子が山田くんに小声で話しかけているのが見えた。
え、珍しいな。山田くんに話しかける女の子がいるなんて。
興味がそちらに移って思わずじーと見つめる。
彼に話しかけているあの子は…田中さんだ。
物静かで、優しいっていう印象のある女の子。
会話の内容は聞こえない。目立たないように、小さな声で話しているらしい。
彼は終始嫌そうな顔をしていたけれど、手を合わせて懇願する彼女を苦い顔で見つめると、気だるそうに、
「わかったよ」
と、何らかの頼みを承諾していた。
そして2人は立ち上がると、一緒に教室を出ていってしまった。
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美月(プロフ) - れいさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます…！そう言っていただけるとすごく力になります。続編の更新頑張りますね。今後の展開も楽しみにしていてください！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 37bdf40b5c (このIDを非表示/違反報告)
れい - 素敵な話です。こういう話大好きです。言葉の表現の仕方も素敵で読む手が止まりませんでした。今まで一番好きな小説です。これからも応援してます！更新楽しみにしてますね！ (2020年4月26日 19時) (レス) id: b42eb02cf2 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - ぱあたんさん» こんにちは。嬉しいお言葉をありがとうございます！(; ;)これからも楽しんでいただけるよう、更新頑張ります！ (2020年4月25日 13時) (レス) id: 37bdf40b5c (このIDを非表示/違反報告)
ぱあたん(プロフ) - 気になったので読んでみましたがとっても面白くて読む手が止まりませんでした！これからも応援させて頂かきます！ (2020年4月25日 6時) (レス) id: 5f3f43ce15 (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - ハネムさん» こんばんは！乱数くんの小説でもコメントくださりありがとうございました。タイトルの意味もキャプションもお話もかなりこだわっているので、そう言っていただけて嬉しいです！(; ;)更新頑張りますね！ (2020年4月24日 23時) (レス) id: 37bdf40b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美月 | 作成日時：2020年4月23日 20時
