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お酒で酔っ払った頭には未だ、会話中にふと見せる左馬刻くんの笑顔とか、白かった頬が赤く染まっていくようすとか、そういったものが染み付いて離れてくれない。

酔っ払った頭を覚醒させるように、家に帰るなりすぐシャワールームに飛び込んだ。



まさか2日間連続でイケメンたちのお世話になるなんて思いもしなかったな。

振り回されっぱなしで疲れることもあったけど、それさえも彼らなら良いかと受け入れてしまう自分がいる。


早くまたあの3人に会いたいな。

そんなことを思い始めていた。



***



迎えた土曜日。

銃兎さんと約束していたその日が来た。
迎えに来てくれるって言ってたけど、普通にロビー前にいればいいかな。


約束の五分前、そわそわしながら自宅マンションのロビー前で待っていると、遠くの方から黒い車がこちらに向かってきて。

車はちょうど私の真ん前で綺麗に停車すると、その窓が開く。


休日にもかかわらず今日もきっちり七三分けの前髪。
こんなに七三分けが似合う男性ってなかなかいないよな。とにかく顔が良い…。

銃兎さんは薄く微笑んで挨拶をしてきた。



「Aさん。こんにちは」

「こんにちは、銃兎さん」

「数日ぶりですね。どうぞ助手席にお乗り下さい」



促されて助手席に座る。私がシートベルトを締めたのを確認した銃兎さんが、アクセルを踏み込んだ。



「…今日はパトカーじゃないんですね」

「まさか休日にまでパトカーをご所望でしたか?」

「いいえ、そんなわけではないですけど」

「フフ、冗談です。ところでこの前は左馬刻と食事に行ったそうですね」



銃兎さんの横顔、その口元にニヤニヤと笑みがたたえられている。

この前…?

記憶を巡らすと数日前の様子が思い起こされ、同時に頬が熱くなっていって。



「なっ、ま、まさか銃兎さん、左馬刻さんから話、聞いてっ」

「おや? もう『左馬刻くん』呼びはしないのですか? 酔っ払いのAさん」

「〜〜〜〜〜っっ!!」



あの色白ヤクザ、この前の私の酒の席での失態を全部話しやがったな!!

あのとき思わず「左馬刻くん呼びをする」なんて言ったけど、冷静に考えて色々すっ飛ばしすぎだろ自分!!



「今度は私も是非とも参加させていただきたいものです。酔っ払った貴女は見物だと、左馬刻の馬鹿は楽しそうに笑っていましたから」

「くそっ…あんのやくざっ…」



ギリギリと歯を食いしばる私の横で、銃兎さんは相変わらず面白そうに微笑んでいた。

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作者名:美月 | 作成日時:2020年4月15日 21時

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