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宝*25 ページ25

慌てて階段を上ろうとした私を、ユサさんは腕を掴んで止めた。


「おやめください!今の音はおそらく銃声……危険です」

「放して!!上には安室さんがいるの……!」


彼は立場上だろうか、私の腕をそこまで強く掴んではおらず、
必死に振り払えば解けて、彼の胸を押し距離を作って、階段を駆け上がる。



「安室さん……!」

扉の開けっ放しになっていた探偵事務所の中に駆け込むと、
安室さんは珍しく鋭い声で「来るな!目を閉じていろ!」と叫んだ。

いつの間に来ていたのか、即座に「失礼」と言いながらユサさんが私の目に手を当てる。
何が起こったのかわからないまま、みんなが慌てている気配だけを感じ取る。


「……ユサさん、今、なにが起きてるの?」

「それは……」

私の目を覆っているユサさんに今の状況を尋ねても、
私にはとても言えないようなことが起こっているのだろう。
彼は言い淀み、続けて謝罪の言葉を言っただけだった。




「A様。やはり危険です。
 貴方様には上杉家に入ってもらい、相応の護衛をつけて生活していただかなければ」


ユサさんに目を覆われたまま、私は彼の手を借りて階段を少し上がり、
そこに腰を落ち着けると、目を覆う手を離しながら彼はそう言った。
その顔は相変わらずなんの変化もない。


「そんなの嫌。
 危険でも、私は安室さんの傍にいたい」


彼は約束してくれた。
私が望む限り、私の傍にいてくれると。

甘えていると思われてもいい。我儘だと思われてもいい。
それでも傍にいたいのだ。

大好きな、お兄ちゃんなのだから。



ユサさんをじっと見つめていると、「ここにいましたか」と、安室さんが階段を上がってきた。


「安室さん!」

「…………」

「彼女の目を覆ってくれてありがとうございます。
 えっと……昼間、彼女の祖父と一緒にいた方、ですよね」


鋭く自身を見つめるユサさんに、安室さんはにこやかに言った。
不安と安心がごちゃ混ぜになりながら抱き着いた私の頭を撫でて、
「安室透です。彼女のことは、必ず守りますよ」と、言ってくれた。

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設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:アニメ
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作者名: | 作成日時:2018年4月10日 0時

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