微睡みと遠雷。2 ページ11
白身と敷いてあるベーコンが焼けてきていい匂いが漂う。
「いいお嫁さんになるにはご飯ぐらいちゃんとつくれるようにしなさいってお母さんに言われてた」
「料理なんかしなくったって、いい嫁さんになる方法知ってるんじゃないのか？この場合、知ってるとは言わねえな……最初から覚えてるんだ」
彼女の肩に手が添えられる。先程よりもっと距離が縮まった。背中にも手が当たるのを感じる。
「ちょっと、危ないよ…何考えてんの」
「まぁ、こんな事は母親には教えてもらわないだろうが…でも1番手っ取り早いだろうな」
白身はよく焼けた方が好きだ。
でも、黄身は半熟でも良い。
フォークを突き立てたら溢れ出てしまうくらいが美味しい事を知っている。時期を逃すと固くなってしまう事も。
美味しいものは美味しいうちに食べなければならない。タイミングが重要だ。
「何、朝食が1品増えるだけのことだ」
冗談だろうが、声はそうは聞こえないほど低かった。しかも耳元でそれを囁くように言うものだからたまらない。
「その…後で、じゃあ…ダメ？」
背中にゾワゾワとしたものを感じながら何とか声を絞り出した。おかしい、いつもならこんな事にはならない。彼の中でなにかがあったのだろうか…。
「あいにく俺は好きな物から食べる派なんだ
腹いっぱいになっちまうか、誰かに取られる前にな」
「次元、どうしたの…なんかおかしいよ」
「そうか？いつも通り、俺は俺のしたいようにやってるだけだがな…まぁ、いいさ 待ってやるよ」
興が削がれたのか、図星をついたのかはわからないが彼はAから離れてテーブルについた。そうして何も言わなくなった。
もう食べ頃だと言わんばかりに焼き目が着いた目玉焼きを皿に盛った。なんとなく先程まで彼の手があった肩が寂しいような気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おすし - Part3私も結構好きなんですよね。私は最近原作の絵が気に入ってます。脚短いの、分かります笑 アニメシリーズだととてつもない長さのありますからね笑 更新楽しみにしてます！ (2020年3月8日 15時) (
レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
くろまめ(プロフ) - おすしさん» コメントありがとうございます！あとがきのまえがきまで見てくださって....作者としても大変嬉しいです。やはりどのテレスペ、映画を見ても同じシリーズだと思えない程色々と差異がありますよね。私は最近カリオストロをみると「脚短いな〜」と思います(笑) (2020年3月7日 22時) (レス) id: ce0f0d03f0 (このIDを非表示/違反報告)
おすし - 長文お邪魔しましたm(_ _)m (2020年3月1日 18時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
おすし - 楽しく読ませて頂いています。私も初めて観たのが『カリオストロの城』でしたね〜。その次に観たのが『隠された空中都市』で同じシリーズだという事に驚きました。次元大好きなので楽しく読ませて頂いています。あとがきのまえがきを更新と共に楽しみにしてます笑 (2020年3月1日 18時) (レス) id: ecd32e4b78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くろまめ | 作成日時：2019年12月31日 22時
