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「___兄貴、俺が運びやすぜ」
「いや、俺が___」
体が揺れる。
誰かに抱き抱えられている感じがして。
そっとどこかに降ろされた。
また話し声が聞こえながら、コツコツと足音らしきものは遠のいていった。
・
「_____疲労による高熱らしいわ」
Aの部屋に入ってすぐ、ベッドのそばに腰掛けたベルモットが振り返った。
「最低でも一週間は療養が必要よ。
こんなに可愛らしい子に限界まで無理させるだなんて…
ジンは容赦ないわね」
…それはアイツがAに執着してるからだろ…その言葉は飲み込んだ。今はそんなことはどうでも良かった。
そばに行くと苦しそうに顔を歪め、呼吸も荒い。
頬に触れると、僅かに表情が緩んだ。
「…貴方…見たこともない
「…?…あ?どんな顔だよ?」
「…ふ…
…相変わらず変な女。
暫く頬を撫でているとAが体を動かし布団が動いたため、掛け直そうとした。
服をよく見ると、いつも日中着ている服ではなかった。
「…おい。コイツの服…」
「安心して。着替えさせたのは私だから」
「……ならいいけどよ」
「…ふ。
さ、私はお邪魔虫みたいだからお暇するわ。
任務は代わりにやっといてあげるから、暫く彼女のこと見といてあげてね?
…貴方のこと、呼んでたしね」
去り際のその言葉を、無視できなかった。
「…呼んでたってどういう意味だよ」
「さあ?それは自分で確かめなさい。
・
さっきまで苦しかったのに、少し体が楽になって。
ゆっくり目を開けると、眉を下げたピンガが視界に映った。
「ぴん、が…?」
上手く声が出ないけど、頬を緩めた。
見たこともないくらい、優しい顔で。
「…キツかったな。まだ寝てろ」
その言葉で涙が滲んできて。
少し前に気まずくなってから、任務も一緒じゃなかったし、タイミングもあってずっと話していなかった。
それが苦しくて、苦しくて。
「……けんか、やだよ…」
私の言葉を聞くと、目を丸くしまた笑った。
目尻を拭われ、額に張り付いた髪の毛も手で払われた。
「バカ…端から喧嘩なんてしてねぇよ」
…ああ、これは夢だよね。
だって、こんなに優しい顔でこんなに優しい声で…
「そばにいてやるから、早く寝ろ」
…私の額にキスなんて、する人じゃないんだから。
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柚葉(プロフ) - ルビーさん» 私もそう言っていただけてすごく嬉しいです!! (11月27日 19時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます!嬉しすぎますっ (11月26日 22時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - ルビーさん» ルビー様。こんばんは!ご返信が遅くなりすみません…!( ; ; )ひとまず友達のみ公開を外しましたので、見れる状態かと思います…!一旦はこの状態でいこうかと思います! (11月25日 22時) (レス) id: 932d9e052b (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - 何回もごめんなさい!続編の方ログイン限定と出て見れないので何とかしてくれたら幸いです。しつこくてすみません (11月23日 21時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
ルビー - ありがとうございます…!どうしても見たくて、、、笑 (11月23日 20時) (レス) id: 400667dae2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚葉 | 作成日時:2023年9月17日 22時