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「……ズッ。」

「あれ。」

隣の席から鼻を啜る音が聞こえてそちらを向けば、野薔薇が下を向いていた。

「のばらー?」

「へ、平気。それよりアンタ、ピザ食べる?」

野薔薇は赤くなった目を私から逸らしたまま、新しいピザを手に取って聞いた。

「いらない。」

「ブッ!」

伏黒君は口元を手で抑え、震えていた。

私は最後の一口を飲み終え、空になったカップを持って立ち上がった。

「ごちそう、さまー。そろそろ部屋、戻るね。」

眠気から湧き上がってくるあくびを噛み殺しながら、私はそう言った。まだ日は出ているけれど、「仮眠取ってくる」と言えば、三人はそれがいいと口々に言った。

「おう!おやすみ!」

「おやすみ。」

「おやすみ、A。」

虎杖くん、伏黒くん、そして野薔薇のおやすみを受け取って、私は三人に手を降り部屋を出た。





自室に向かう途中、私は先ほどの記憶の続きを見ていた。

呪いの口に押し込まれ、最後の悲鳴をあげる前に、おじさんたちは死際になって私に懇願したのだ。

『助けて、助けてくれ、A!!』

その時のおじさんの表情は、みっともなくて、生きるのに必死って顔をしていた。あまりにも大変そうだったから、私はその人がこちらに伸ばす手を取ってあげたのだ。野薔薇がいつも、外の世界に連れ出す時、私の手を取るように。

けれどおじさんがして来たことを思うと、そのまま救い出す気にもなれなくて、私は一度は取った彼の手を、そのまま呪いの口の中へと押し込んだのだ。

最後の最後、あの人は大きく目を見開いて、そして私を罵倒した。けれど今では、なんて言っていたかもよく思い出せない。

ああでも、これだけは思い出せる。彼は最後の最後に、私をこう呼んだのだ。

『魔女』と。

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柑橘(プロフ) - 尊都さん» ご指摘ありがとうございます!変更させていただきました。またなにかお気づきの点があればコメントください。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 稔米さん» ありがとうございます!五条先生とはギスギスして欲しいのでこのまま緩くやっていきたいです。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - わかたくさん» ありがとうございます。更新頑張ります! (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 五条先生ってみんな下の名前じゃありませんでした? (2020年11月26日 2時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
稔米 - 好き過ぎます!なんかこれから色んな事実が発覚してくのかなーと楽しみにしておりマス!私は五条さんとの絡みが好きです!なんか甘々じゃない感じの…w (2020年11月25日 22時) (レス) id: 861890d0d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月24日 1時

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