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降ろされたシャッターには青や赤、黒のインクで落書きがされているし、コンクリート色の建物は長年の劣化で全体的に薄汚い。なにより禍々しい気配が入り口の柵の外でもわかるくらいに充満している。
「いますね。呪い。」
伏黒君の言葉を皮切りに観光を楽しみにしていた野薔薇と虎杖君は騙したな!と騒ぎ始めた。私も予想していなかったから、まだ状況がうまく飲み込めていない。
「近所にでかい霊園があってさ。廃ビルとのダブルパンチで呪いが発生したってわけ。」
東京にも大きな霊園はあるのか、なんて妙な関心を抱いてしまう。東京のお墓はビルの中にあってハイテクだって誰かから聞いたような気がするんだけどな。
頭の中でハイテクなお墓、のイメージを描いているうちに、どんどん話は進んでしまっていたようだ。先生の口から実地試験、という言葉が聞こえてようやく私は現実と向き合った。
「野薔薇、悠仁、それからA。三人で建物内の呪いを払ってきてくれ。」
野薔薇の「げっ。」という声が聞こえたが、私はわりと乗り気だ。私が当初希望していた人の少ない場所だし。そもそも私は呪術師として頑張るために東京の呪術高等専門学校に転入を決めたのだ。
さっさと柵の中に入り、シャッターの前に立つ。振り返ると野薔薇と虎杖君はまだ先生と話してるみたいだ。虎杖君は先生から武器をもらっているようだ。
まだ武器持ってなかったのかな、なんて考えながら二人を待つ。話が落ち着いた時、虎杖君は私を見て「もうあんなところにいるのかよ。」と呟いているのが聞こえた。やってきた二人に私は笑いかけた。
「早く、行こう?試験、だって。」
「はいはい。あんたはこういう時になると乗り気よねー。」
野薔薇の軽口に少し笑いながら、野薔薇、私、そして虎杖君の三人でシャッターを持ち上げ、建物に入った。
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柑橘(プロフ) - 尊都さん» ご指摘ありがとうございます!変更させていただきました。またなにかお気づきの点があればコメントください。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - 稔米さん» ありがとうございます!五条先生とはギスギスして欲しいのでこのまま緩くやっていきたいです。 (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
柑橘(プロフ) - わかたくさん» ありがとうございます。更新頑張ります! (2020年11月26日 3時) (レス) id: 3b878783b1 (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 五条先生ってみんな下の名前じゃありませんでした? (2020年11月26日 2時) (レス) id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
稔米 - 好き過ぎます!なんかこれから色んな事実が発覚してくのかなーと楽しみにしておりマス!私は五条さんとの絡みが好きです!なんか甘々じゃない感じの…w (2020年11月25日 22時) (レス) id: 861890d0d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柑橘 | 作成日時:2020年11月24日 1時