ぱっつん髪の男の子【白布賢二郎】

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牛島さんは損して生きていると思う







なぜなら常にバレーの事しか目に見えていないからだ


確かに牛島さんは全国で三本の指に入るスパイカーでプレーはピカイチだ

見惚れてしまうほど

バレーの事を優先して生活したい気持ちも充分分かる





でも






目の前にいるこんなに素敵な女の子にも目に入らないなんて






損をしすぎているとしか思えない







俺だったらこんなに素敵な女の子を放っておけない









というか、現状放っておけてない








裏を返せば牛島さんがAに全く興味を示さなかったのはラッキーだったけど、牛島さんはとにかく損をしすぎていると思う









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そんな俺がAに恋心を抱いたのは中学二年生の頃だった






｢北一の宮下Aって子が女子バレー界でかなり話題らしいよ〜｣

｢最優秀選手賞二年で取ったらしいし｣

｢まじかよ？！｣

｢なにより可愛くてさ〜｣




北一の女バレは全国でも優勝候補に匹敵するぐらい強豪だ

そんな北一のエースは宮下A


二年生でありながら最優秀選手賞も取り、全国で一番優れているスパイカーらしい

何よりとても可愛いと好評で、俺の部活もその話題で持ち切りだった



(どうでもいいや...)



でも俺は宮下Aにさほど興味はなかった



その時までは






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夕方になり、全試合が終わってミーティングを終え現地解散で帰ることになった



｢どこだよ...｣


｢白布どうしたん？｣


｢家の鍵どっかに落としたかな｣


朝エナメルに入れていたはずの家の鍵が無くなっていた

きっとタオルに紛れ込んでしまって、出した隙に落としてしまったのだろう


現地解散だったので友達を先に帰らせ鍵を探しに体育館に戻った




｢ないな...｣



トイレの中、ベンチの下、さっきエナメルを置いた場所、全て探したが家の鍵はどこにもなかった



｢鍵届いてませんか？バレーボールのキーホルダーがついているやつです｣


受付の人に尋ねても落とし物には届いてないという

いくら探してもないので今日は親に謝って家の鍵を開けてもらおうと思った





その時






『あの...これですか？』





北一のジャージを着たショートカットの女の子が俺の鍵を差し出してきた






大人しそうな人だった





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