英斗総合病院。２

☆ ページ42

錦戸side




あかん……俺最低やん…………。


目の前で声をあげて泣いてる
Aちゃんを見て、
ごめんなって言いながら
頭を撫でてあげることしかできない
自分に腹が立った。


今思えば、最初から
病院怖がってるみたいやったし、
もっと気ぃ使って
あげるべきやったんに…。


「ｸﾞｽｯ…………ごめんなさい……

ひくっ………もう大丈夫です…………(涙)」


無理やり涙を押さえ込んで
大丈夫だと言うAちゃん。


錦「怖い思いさせてほんまごめん…。」


「んーん……先生は悪くないです……。」


Aちゃん、きっとすごく
頑張り屋で優しい子なんやろな…。


「あの……まだ採血………ｸﾞｽｯ……

………できてないですよね……？」


錦「え？あ、おん……せやな……。

でも……もう嫌やろ？

今日はやめとこか…？」


「……大丈夫です………できます……。」


錦「ん……ごめんな。

頑張り屋さんやな、Aちゃん…」


ほんまは怖くて
もうやりたくないやろに…。


Aちゃんにさっきとは
逆の腕を見せてもらったけど、
やっぱり血管は出てこなくて。


また失敗して
痛い思いさせてまうかも…と思うと、
どうしても腕で採血する気には
なれへんかった。


ちょっと痛いけど…

失敗するよりは確実な場所で
やったほうがええよなぁ…。


錦「Aちゃん…

腕やと俺、また失敗して

痛い思いさせてまうかもしれん…。

ちょっと痛いねんけどな？

手の甲で採血させてくれへんかな？」


「えっ…………痛いの………………？(泣)」


錦「でも絶対1発で針入れるから！

痛いのはほんまに一瞬やで？

ほんまは腕で1発で

入れれたらいいんやけど…

俺、自信ないねん…

頼りない先生でごめんな…。」


あー何か自分が情けないわぁ…。


いつもは採血、看護師さんに
任せっきりやからな…。


俺も採血の技術、
もっとあげなあかんなぁ…。

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