英斗総合病院。

☆ ページ39

安田side




Aちゃんがあんなに感情を
表に出すのって珍しいから
びっくりしたわ…。


小さい頃から痛くても寂しくても
口には出さないでずっと一人で
我慢してるような子やったから。


今回の入院が相当ストレスに
なってるんやろな。


楽しみにしてた学校行事の前やった
みたいやし…。


昔はほんまに毎月って言ってもいいほど
高熱出して入院してて。


僕からしたら半年間も体調崩さずに
元気でいれたことは
すごいことやと思うし、
Aちゃんが大人になった
証拠やと思う。


けどAちゃんからしたら、
「また入院しちゃった」
「昔と何も変わってない」って
感じてるんやろな…。


"すごい"なんて言っちゃアカンかった…。


僕、Aちゃんの気持ち
全然わかってあげれへんかったな。


ほんま反省やわ…。


ほんまはご飯落としたり
点滴の針抜いたりなんて
絶対しちゃアカンことやし、
普段は僕もさすがに注意すんねんけど。


今回は僕が悪かったな…。


看護師さんたちにも
Aちゃんのこと怒らんでな？って
言っとかなあかんな。


きっと今、Aちゃん自分のこと
責めてんねん。


何であんなこと言ったんやろって
後悔してると思う。


そんで絶対一人で泣いてんねん…。


そう思うと胸がぎゅーって苦しくなる。


今すぐAちゃんのとこに行って
「ごめんなぁ」って謝りたいし、
「大丈夫やで」って撫でたりたい。


でも『出てって』って言われてまった
からな…。


今行っても余計にAちゃんを
刺激するだけやもんな…。







しばらくしてそっとAちゃんの部屋に
向かってみる。


(……ふふっ……やっぱり寝とる…笑)


昔からいっぱい泣いたら眠くなって
すぐ寝てまうねん(笑)


新しく点滴を刺そうと起こさんように
Aちゃんの腕を捲る。


さっき自分で抜いたとこは
血が固まっててパジャマにも少し
血がついていた。


(……痛かったやろな……。)


Aちゃんを起こさんように
慎重に針を刺して点滴に繋いで。


(……ごめんなぁ…………。

はよ元気になってまた笑顔見せてや…？)


そう願いながらAちゃんの頭を撫で、
布団をかけ直して病室を後にした。

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あずきいろ

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