16話 * ページ17
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小学一年生ぐらいの頃。まだまだどっちもちっちゃくて、焦凍が炎司さんとの稽古がない日は、2人で毎日の様に遊んでた。
ある時のお昼時。近所の空き地で遊んでいると、木の下にダンボールを見つけた。
｢佑月ちゃん、なんかあるよ！｣
｢なんだろう...？｣
｢！
ねこちゃんがいる！｣
｢ほんとだ！かわい〜！｣
あまり目にしない子猫をキラキラと見つめる2人。恐る恐る触ってみると、ぺろっと手を撫でてくる。いつの間にか子猫に夢中になっていた。
｢ひ、ろって、ください？｣
｢捨てられちゃったのかな...？｣
｢じゃあ、僕たちが育てよう！｣
｢うん！いいね！｣
家に持って帰っても、どちらも飼えないと言われてしまったため、仕方なく元の場所の木の下に再び戻す。どれだけお願いしても、ダメだと言われてしまったのだ。
｢.....ここでお世話しよう？｣
｢うん、みんなには秘密ね！｣
焦凍の提案により、毎日ご飯を持ってきてあげることに決まった。たまに、おもちゃで遊んだり、濡れたタオルで身体を綺麗にしてあげたり。
お母さんも病院にいて会えず、毎日の炎司さんとの訓練に苦しんでいた焦凍。その子猫は、閉ざしかけていた心の癒しになっていたのだろう。
__________
ある日のこと、いつも通り家から子猫用にご飯を持ち出して、空き地に向かった。こっそりバレないように、と二人でやる秘密のお世話は毎日の楽しみになっていた。
空き地の木の下に着くと、そこには空っぽのダンボール。そこには、寒くないようにと持ってきたブランケットと、小さなご飯用のお皿しかない。
中にいるはずの子猫は居なかったのだ。
｢ねこちゃんどこいっちゃったの...？｣
｢大丈夫だよしょーくん！一緒に探そう！｣
眉を下げて、心配そうに声を漏らす焦凍。いなくなった子猫を探すことにした。
小さな足で行ける範囲はくまなく探した。草むらの中、木の上、秘密の抜け道。でも何処にも子猫の姿はなかった。
もう太陽が沈み始めて、辺りがオレンジ色に染まった頃、土手に2人でつけてあげた首輪の鈴が落ちていたのを見つけた。
｢...もう、あえないのかな....｣
焦凍は鈴を手にしそう言った途端、声を上げて泣き出してしまった。そんな焦凍つられて、私も我慢していた涙が溢れてきた。
死んじゃったのか、まだ分からないけれど頭ではそう考えることしか出来なくて、2人でわんわん泣いた。
齢6歳で知った、命の儚さだった。
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ミルフィーユ - 終わりなんですか...？悲しいですが、すっごくほっこりするお話でした。 (2020年7月3日 19時) (
レス) id: 9176ab7d5f (このIDを非表示/違反報告)
あるじゃん(プロフ) - りるるさん» コメントありがとうございます！大変励みになります...！頑張ります！ (2020年6月1日 2時) (レス) id: 99f9589e9d (このIDを非表示/違反報告)
りるる(プロフ) - 尊い(*´∇｀*)応援してます！！ (2020年5月31日 23時) (レス) id: 335947b1ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あるじゃん | 作成日時：2020年4月17日 0時
